データ分析とインテリジェンス

データサイエンティストを雇う前にスキルについて考えるべきこと

■「分析ができる人」と漠然としていると採用に失敗する

データサイエンティストなどデータ分析者の募集を見ると、求められるスキルに「統計学」「機械学習」「データマイニング」などかなり漠然と分析手法についての記載しかないことも多い。では実際に話を聞けばわかるかというと、過去様々な企業の面接に行ったが分析が大事だとか力を入れるとは言いつつも、現在の状況・今後の展望・求めるスキルについて明確にしてくれ企業は記憶にない。要するに、企業側もよくわかっていないのである。

というわけで、先日データサイエンティストを雇う前に考えるべきことに「求めるスキルは何をどれぐらいか」という項目を追加したが、この部分についてもっと掘り下げて考えてみる。ちなみに前回追加したのは以下の通り。各項目についての詳細と、さらに追加で考えたことが続く。

  • ・特定分野での最先端の知見が必要なのか、全般的に知っていれば良いのか
  • ・手法を道具として使えれば十分なのか、理論的背景の理解は必要か
  • ・エンジニアリング能力は、前処理を含めて分析するためのコードが書ければよいか、インフラ構築のための知識が必要か
  • ・コンサルや営業スキルは独力で仕事を開拓してプロジェクトを回せる能力か、アナリストしてコンサルと組むのか

■特定分野での最先端の知見が必要なのか、全般的に知っていれば良いのか

経営企画・マーケティング・ロジスティックなど特定の分野に特化した業務なのか、分析を始めたばかりで広い分野で業務に携わるのかで求められる知識に違いがあるのは当然。ということは必然的に、分析の知識についても業務に合わせた内容が必要になる。あれもこれも詳しく知っていればたしかに便利だろうが、全ての分野で最先端の知見を持っている人を求めるのは馬鹿げている。よって、どの分野にどの程度知見が必要であるか、将来を見越したうえで決めなければならない。

これを怠って「分析ができる人」など漠然としていると、ろくに分析をしていないのに専門家レベルの人を雇って持て余したり、現場でのマーケティング分析担当者が必要なのに戦略情報を志向する人を採用してかみ合わなかったりということが起きる。

■手法を道具として使えれば十分なのか、理論的背景の理解は必要か

データを用意してツールに入れたら答えは出て来るが、その理論的背景を理解せずに使う人も多い。これは聞く側のリテラシーの問題で、重回帰分析とか決定木とかちょっと変わった手法の名前を出すだけで信用してしまうことが大きい。現場レベルで日常業務に使うぐらいであればそれでも最初は何とかなるだろうが、手法が高度化したり、より重要な意思決定に関わる段階でまったく理論的背景を知らずにツールに入れたら答えが出てきましたではあまりに心もとない。

ツールに入れたら答えがでればそれを使えば良いと考えている人がわざわざ理論的背景の勉強に時間を費やすことはあまり期待できないし、そもそも必要な数学などの背景を持っていないこともよく見受けられる。現状はもちろん、将来を見越した上で考えるべき項目。

■エンジニアリング能力は、前処理を含めて分析するためのコードが書ければよいか、インフラ構築のための知識が必要か

データ分析ができる人にもインフラなどに興味がある人と興味が無い人の2種類がある。インフラが整っていない場合にエンジニアもいないと分析者が自分で行うことになるが、興味が無い人は経験もあまりないため、ここで時間を使うことになる。最初から分析に取り組むつもりで入社したらツールの選定や環境整備も自分でやって、では士気を大きく削がれる。事前に状況をすり合わせておくだけでも大分違うのでは。

■コンサルや営業スキルは独力で仕事を開拓してプロジェクトを回せる能力か、アナリストしてコンサルと組むのか

営業力が必要なのに分析スキルを優先すると、仕事が足りなくなる。一方で分析スキルが必要なのに営業力を優先すると、仕事は取れてもサービスの質が落ちる。バランスを取るのは難しいが、偏り過ぎないようにしたい。

■追加:特定ツールの利用経験は基本的に問わない

特定ツールの利用経験を問うことがあるが、あまりに特殊で習得に時間がかかるとか、そのツール出ないとできない事でしかもすぐに人が欲しいなどよほど緊急性があるとか、特別な事情が無ければこれはやめておいた方がいい。というのも所詮は道具の話なので、ツールなど使えば大抵覚える。特定ツールの利用経験が無いという理由で、その他のツールでの経験が豊富な人材を逃すのは愚策であると言えよう。

■どうやってスキルについての認識を合わせるか

採用情報などに書けば、求める人材が得やすくなるし、そうでない人の応募が減ることで時間の節約にはなるだろう。しかし、あまりオープンにしすぎると今度は競合他社から今どのような人材を欲しがっていて、分析にはどれぐらい力を入れているかなどが分かってしまうというデメリットが大きいため、あまり詳細は表に出すのは難しい。

面接時にはできる限り認識合わせをしたいところだろうがいきなりその場で行うには時間がかかりすぎるので、履歴書とは別に事前にスキルシートを渡して書いてもらうなどは必要だろう。あまり複雑だと面倒なので、5分-10分で簡単にできるように文章ではなく各スキルの一覧に自分のレベルをチェックしてもらう程度でも最初は十分だと思うが、どうだろうか。

■共有できるスキルセットの必要性

こう考えてみると、企業側にもデータサイエンティストなど分析者側にも共有できるスキルセットの定義が必要だと改めて感じる。あまり精緻ではないが議論のたたき台には使えそう、ぐらいの内容で独自に作ってみようかと思っているが、もう少々お待ちを。

このエントリーをはてなブックマークに追加

タグ:経営者・マネージャー向け データサイエンティスト 採用 スキル


最新のブログ記事5件

最悪のデータ分析組織とは
「人工知能でいい感じの成果を出してくれ」にどう向き合うか
すごい人工知能が開発されたら起きる未来について
csvファイルの扱い方
仕事を早くすることのメリットについて

ブログトップ > データサイエンティストを雇う前にスキルについて考えるべきこと