データ分析とインテリジェンス

データサイエンティスト・データアナリストであることはハイリスク・ローリターン

■データサイエンティスト・データアナリストの悲惨な現状

現在の日本において、データサイエンティスト・データアナリストになることは残念ながらハイリスク・ローリターンである、ということを知らずにそれになったり目指したりすると、後で大変な目に合うことになる。そこで、これからどうしたら良いかを考えている人や、これから目指そうとしている人に参考になればと思い、現状について自分の経験を踏まえてまとめてみた。

なお、前提としてデータサイエンティスト・データアナリストとは、

  • ・データ分析をビジネスの最前線で行っている人を指し、学者や研究者は除外する
  • ・データ分析のできるコンサルタント・マーケター・エンジニアなどは分析が主業務ではないのでこちらも除外する
  • ・高度な統計学や機械学習を使う人だけに限らず、基本的な集計レベルだけでも含める

としている。

■理由1・そもそも需要が少ない

日本では、データ分析から生み出される情報、つまりインテリジェンスに基づいて意思決定を行うという文化が確立しておらず、いまだに勘・経験・度胸のいわゆるKKDの世界がまかり通っている。つまり、インテリジェンスという「商品」を欲しがる消費者が圧倒的に少ないのであるから、データ分析という「商品を作るための道具を使う人」の需要が少なくなるのは当然のことだ。分析の手法の1つである統計学や機械学習という「特殊な道具を使う人」に至っては、推して知るべしである。

この「情報(インテリジェンス)に基づいて意思決定を行うという文化」の欠如はビジネスに限らず政治や軍を見てもわかるように日本人の最も苦手とする分野の一つであり、したがって数年程度で大きく改善する見込みはない。国家の国民の命運が掛るような状況ですらこのような有様なのに、ビジネス程度で問題意識が高まる期待などできない。意識の変革と浸透には早くても数十年単位はかかるだろう。

■理由2・経営者層の情報リテラシーが低い

データ分析の文化がないのだからリテラシーを身に着ける機会があるわけもない。これは経営者だからリテラシーが低いのではなく、日本人全体のリテラシーが低いので、その中から経営者になった人のリテラシーも低いという話である。そして、今まで存在しないでもそれなりにうまくやってこれた人に、今更新しいリテラシーを身に着けさせるのは非常に難しい。現在の60代以上の人がインターネットや携帯電話という道具ですら使いこなすのが難しい以上に、インテリジェンスと言う見えないものを理解し、使えるようになるのは困難であろう。

一方で若手の経営者はどうかというと、結局のところ同じような文化で育っているのだから、やはりリテラシーが身についていないのは当然である。データ分析が活用されやすいwebですら、webアナリストが未だにほとんど日陰にいることを見ればそのことがわかる。

■理由3・報酬が少ない

データ分析やインテリジェンスというのは直接の利益を生み出す仕事ではないため、経営者の理解がなければ評価されることは望めない。そして前述したように、肝心の経営者のリテラシーは悲惨な状況である。需要が少ないのだから、稼げる機会も少なく、評価もされなければ報酬も少なくなるのは明白。日本のトップクラスのデータサイエンティストやデータアナリストであっても1,000万を超えている人はごくまれであろう。

ちなみに、分析による業務改善などは直接利益に貢献できるではないかと思う人もいるだろうが、アナリストは意思決定を「支援」しているのであって「決定」や「実行」をするのは別の人の役割である。もし分析した人が自分で決めて実行するのであれば、それはもはやアナリストではなく、データ分析のできるディレクターやマーケターである。

■理由4・企業の選択肢が少ない

データ分析を主業務にできる部署は相当に特殊なので、他の部署へ異動したらその時点でアナリストとしては活動できなくなる可能性が高い。これはデータ分析ができなくなる、ということを必ずしも意味するわけではないが、アナリストではなくマーケターやディレクターなどを主業務とし、データ分析は補助的な立場になるということである。

アナリストとして活動したければ会社を変えることになるが、そもそも選択肢が少ないので他に行く場所がなければどうにもならない。

■理由5・5年後10年後のキャリアが描けない

データサイエンティスト・データアナリストとしてキャリアプランが存在しない。経営者層にアナリスト出身者がいない。チームを作るほど1つの企業にアナリストが集まることも少ないので、マネジメントになるにもその経験が積めない。経営者に評価されなければ、結局現場から離れられずに小さな仕事で食いつなぐ、という事態になりかねない。

■いつか来るかもしれない未来のために

以上、自分の経験に基づいてデータサイエンティスト・データアナリストがリスクだらけで見返りも少ないという現状について述べたが、別の道を通ってアナリストになった人には全く違う風景が見えているのかもしれないので、是非とも後進に対してもっと良い方法があることを提示してあげて欲しい。

それではデータサイエンティスト・データアナリストになる価値はないのかと言えば、決してそんなことは無い。競争が激しくなればなるほど、情報の価値は限りなく高まっていく。世界と戦うためには絶対に必要な能力なのである。そして数は少なくとも情報に価値があることを知っている人は確実に存在しており、いつか出会うこともあるかもしれない。その時のために、今は力を蓄えておこう。

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データサイエンティスト・データアナリストの現状やキャリアについては過去にいくつか書いている。

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タグ:キャリア データサイエンティスト データアナリスト キャリア


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