データ分析とインテリジェンス

レポートやニュースで騙す方法とその対策のための基礎知識

■彼を知りて己を知れば、百戦して殆うからず

グラフやレポートはもちろん、データ分析担当者としては世間の動きを見極めるために様々なソースから情報を集めなければならない。しかし、誰かが流す情報というのは何等かの意図が含まれていることが普通であるため、そのまま鵜呑みにすれば当然読み間違う。

そこで、「彼を知りて己を知れば、百戦して殆うからず(孫子)」ということで、誤魔化すのにどのような方法があるかを見て、合わせて騙されないための対策についても考える。レポート・報告書を読む際に気を付けることと合わせて読んでもらえれば幸い。

■大前提:数字の改竄はしない

誤魔化す方法

数字を直接誤魔化す方法は無い。後で検証された際に、数字そのものが改竄されていたことが発覚すれば大問題になるし、場合によっては詐欺である。したがって、数字を変えることは絶対にしてはならない。変えるのはあくまでも「印象」である。

そこで取られる方法としは、直接数字をいじるのではなく対象者にバイアスをかけることで結果を操作し、その結果を全体から無作為抽出したように見せかける。データそのものを変えているわけではないので嘘にはならない。

数字の改竄

対策

数字については必ず生データと同時に、その数字がどのように作られているかを確認しなければならない。一見無作為に抽出されたように見えても、実態は違うことがある。

具体例

インターネット調査や電話調査は典型。予算や時間などの問題もあるのでバイアスをかけることを意図して行っているとは必ずしも断言できないが、偏りがあることは頭に入れておくことは必須。

そしてこの文章を書いている最中に新聞でちょうど良い事例が出てきたので、別にまとめる予定。

■基本戦略1:見た人が意図したように思い込むようにする

誤魔化す方法

事実の中に「~と思われる」などを織り交ぜることで、事実であるような印象を与え、都合の良い主張を通す方法。いわゆる印象操作。ただし嘘は論外であるし、「~である」と言い切るのは外れた場合の責任問題になるので「~に違いない」など、推論であるようにぼやかしておくのがよい。

情報を受け取る側は聞きたいことだけを聞く。自らの主張に沿うように解釈するし、良い結果はもっとよく、悪い結果はそれなりによく見たいと思っているので、顧客ニーズがわかればそれに合わせることで受け入れられやすくなる。

対策

まず「事実」と「推論・事実でない部分」を明確にすること。その上で、自分の都合よく解釈していないかを確かめること。

■基本戦略2:余計な事を言わない

誤魔化す方法

人を操るための方法の第一歩は、情報を遮断することである。都合よく見繕った情報を与えておけばあとは勝手に解釈してくれる。様々な素材を与えて自分で考えさせるなどというのは論外。

対策

全体像を描いているかを確認する。足りなければ反対意見も集める。

■個別テクニック

大前提と基本戦略はどの方法にも共通している。今後深堀していきたいが、ひとまず紹介に止める。

拡大強調

一部分を強調することで、主張を通す、あるいはレッテル張りに使う。よく使われる基本的な方法。グラフの一部を切り取ったり、一部の主張だけを取り上げたり。

隠ぺい

拡大強調とは逆に、木を隠すなら森のごとく大きな問題の中に紛れ込ませることで問題を矮小化させる。短期的な売り上げの減少を誤魔化すために、単位を月や年にしてしまうなど。

錯覚の利用

円グラフや3Dグラフを用いて、望む情報を大きくまたは小さく見せる。

第三者の意見に見せかける

利害関係のある当事者の声では信憑性を疑われるので、中立的な第三者の意見に見せかける。調査やメディアからの引用、読者投稿欄、外国の新聞などがよく利用される。

両論併記

100:10なら通常は前者の方が多いと判断するが、それぞれから5づつ取って来れば1:1に見える。母数を隠せばなおさらわかりづらい。10の側の印象をよくするためにアンケート回答などを都合よく解釈しようとする際によくみられる。極端なのは1:2だったり、もっとひどいと片方だけしか見せない。

レッテル張り

「あの人は○○だから」などと一方的に決めつけることで、相手を貶める。信憑性を下げることで発言力を削ぐだけでなく、発言そのものをさせないようにすることも可能。結果、意に沿う意見だけが表に出て来ることになる。

言葉の定義が曖昧

レッテル張りに似ているが、使っている言葉自体の定義が曖昧だったりする場合。

事実と推論の混同

事実の後に、断定口調で「○○である」と書いてあるといかにも事実であるように見えるが、よく読んでみるとそれは筆者の推論であり事実ではないことがある。

読者への迎合

自分にとって都合がいい事、自分の聞きたいことだけを聞く習性を利用して、読者の気に入りそうなことだけを書くケース。経営者やプロジェクト担当者に本当は失敗であるのに成功であると感じさせるように書けば喜んでもらえる。また、意向を汲んでその後押しをするような意見も同様。

■ようするにこれってプロパガンダ?

書いていて思ったが、これっていわゆるプロパガンダな気がする。プロパガンダというと政治的な意味合いが強いのですぐに思い浮かばなかったのだろうが、やっていることはさほど変わらないようだ。せっかく途中まで書いたのでということでひとまずまとめてみたが、プロパガンダについて学べばもっと質を上げられそう。

このエントリーをはてなブックマークに追加

タグ:情報収集 プロパガンダ


最新のブログ記事5件

定期レポートを効率化する
最悪のデータ分析組織とは
「何を知りたいのか」がわからなければデータ分析は始まらない
データ分析で業務委託を使う・外注する方法
データ分析について考えたことのまとめ

ブログトップ > レポートやニュースで騙す方法とその対策のための基礎知識