データ分析とインテリジェンス

報いを受けるのはいつでも最前線・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(3)

■日本とアメリカの情報に対する意識の違い

「日本では、陸軍大学校や航空将校養成学校にも、情報学級もなければ特殊な情報課程もなく、わずかに情報訓練が行われたこともあったが、それも戦術や戦史、通信課程の付随的なものに過ぎなかった」

米軍による『日本陸海軍の情報部について』という調査書にある文章である。これが書かれたのは昭和21年4月とのことだから、終戦1年経たずして当の日本では戦後70年経ってもいまだにまともに理解も研究もされない日本の情報軽視ぶりをアメリカは理解していたということである。情報に対する考え方がどれだけ違うかが良くわかる話であろう。

この意識の違いはビジネスの世界にもそっくりそのまま受け継がれており、日本企業でデータ分析がまともに活用されずにいるのは日本軍の情報軽視の姿がそのまま重なる。当然アメリカ側から見たらデータ分析を軽視している姿が良く見えるであろう。危機意識を持たねば、デジタル化がますます進む世界の中で負ける以前に勝負にならない状況が出てくることになる。すでに情報システムやwebの世界ではそうなっているのではないか?

■情報を軽視する上層部と、その報いを受ける最前線

このように情報教育が軽視されていた結果、太平洋の孤島やニューギニヤではほとんどの場合、日本語の守備隊の前にある日突如として米軍の大艦隊が現れたり、大本営の予測とは違って敵軍の上陸が急に始まったり、想像を絶する火力を見舞われたりして、多くの将兵が玉砕していった。情報教育を軽視し、敵情に関して盲目であったがゆえの悲劇である。

会社のイメージに致命的なトラブルが発生した。すぐさま対応が必要だが、予想も準備もしていなかった上層部は右往左往するばかりでまともな対策もできず、最前線で矢面に立つ営業が必死に頭を下げる・・・どこかで聞いたことのある話だが、情報を軽視する上層部と、その報いを受ける最前線という意味ではまったく同じ構図である。

競合がある日突然強力なサービスを出してきたように見えたが、実は以前から、噂レベルから納入業者を通して入ってきた有力な情報まで数々の徴候が出ていたにも関わらず、誰も共有せず、中心となって情報を集める部署も人も存在しなかったために、動きを捉えて対策を取ることに失敗した・・・これも情報軽視の結果である。

情報を長期的に組織的に集め、分析することで、他社の動きを掴んだり、予想されるトラブルを未然に防ぐ、あるいは起きた場合の対処を検討していく、といったことが期待できる。初めから膨大な費用をかけて高性能なシステムを入れたりする必要などまったくない。まずはいまいる人達が持っている情報をきちんと吸い上げることから始めればよい。必要なのは、情報に価値があることを知ることである。

次回:(4)・・・作戦と情報は区別されている

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