データ分析とインテリジェンス

人工知能の発展で消える仕事について

■人工知能が仕事を奪うとは言うけれど

(多分システムを売りたい人の声の大きさのおかげで)人工知能の話題が盛り上がっている。世界を破壊するかどうかはともかくとして、仕事が消えることをことさらに煽っている感も見受けられる。その方がインパクトがあって読まれるからなのは理解できるが、中身がともなっていないことも多く、読み終わってから「それで?」となることも多い。

「人工知能」はバズワードであり、既存のコンピューターの発展の延長の域を出ないが、システムベンダーとコンサルティング企業のビジネスのためにラベルを付け替えて煽られている、というのが個人的な見解である。今回はそのことについて。

■なんだかよくわからないから恐怖感を煽られる

技術の発達で単純作業が消えたり、他の道具で代替されることは人類の発展の歴史でもあり、今更驚く話ではない。この20年を考えてもパソコンが一般に普及し、インターネットが発達して仕事のやり方は大きく変わったが、その分新しい仕事も生まれており「仕事が奪われた」という声はあまり聞こえない。しかし人工知能の発達はまさに「仕事が消える」という表現であり、今までとは違う何かであるように喧伝されている。

とはいえ「人工知能」とは言うけれど、SF映画のたとえと既存の機械学習の紹介以外に見当たらず、結局のところ「よくわからないけどなんかすごそう」で恐怖感を煽られている人が大部分ではなかろうか。

■人工知能に政治的配慮は可能なのか

さらにいえば、データ分析とは「上司やクライアントの意向に沿った意見を提出することで満足してもらい、褒めてもらうための政治活動である」(言葉から期待される内容と実際の意味の違いについて(分析編))というのは半分冗談だが半分本当で、どんなに正しい情報があったとしてもそれが無視され、その結果多大な被害を受けるという話は歴史を見ればいくらでも例がある。

逆に提言が受け入れられるためには意思決定者のイデオロギー、性格、趣味嗜好、過去の経験などを理解した信頼関係のある人により提言されなければならないし、その提言は実行可能性を加味したものでなければならない。作文の内容が正しいだけでビジネスがうまくいくのなら、企業の業績は雇っているMBAの人数に比例するはずだ。つまり、人工知能によって作り出された提言がいくら正しいとしても人工知能を信用しない人には無意味ということなのだが、はたして人工知能にそこまでの政治的配慮ができるようになるのだろうか?

■人工知能で消えるのは自動化できる仕事

ということは、人工知能で消えるのは人の意思決定を介在させずに実行に結びつけられる完全に自動化できる仕事であろう。もしこれに該当するのであれば今すぐに次のことを考えて動かないと大変なことになるのは間違いない。

しかし、それは別に人工知能うんぬんではなく単にコンピューターの発展の延長で、ことさら人工知能を祭り上げる必要性を感じず、劇的な変化ではないけれどもレベルの付け替えでそう見せているだけではないか、というのがはた目から見ている感想である。

技術の発展や新しいサービスの開発は喜ばしい。しかし、それに便乗してバズワードを煽って稼ごうとするやり方があまりに目立ちすぎる。それでも売れるから止めることはできないが、もう少し何とかならないものか。

■そして歴史は繰り返す

以上、現在の「人工知能」ブームが仕事に及ぼす影響について考えた。劇的な変化が起きれば状況は変わるだろうが、いつどこで起きるかわからない劇的な変化に期待するのは建設的ではないのでここでは考えない。結局のところ無駄に煽られることなく、冷静になって考えることしか対処の方法はないのだが、人工知能の前に「データサイエンティスト」があり、人工知能の後には「IoT」あたりが候補として控えており、同じことが繰り返されることが予想できるのは何とも言い難い気分になる。

また、人工知能については技術的な内容ではなく、バズワードの一つとして他にも人工知能についていくつか書いているのでこちらも参照にいただければ幸い。

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タグ:人工知能 将来 バズワード


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