データ分析とインテリジェンス

ディープラーニング・深層学習ブームを総括する(2017年頃用)

■ディープラーニング・深層学習は終わったのではなく始まってすらいない

ディープラーニング・深層学習いう言葉がよく聞かれるようになってそろそろ3年になるが、いまだに定義は確立されず、何をする人なのかもよくわからないまま、すでにブームはピークを過ぎ、このまま遠からず消え去っていくだろうという状態になっている。いったいなぜこのようなことになったのか、自分なりに総括してみる。

■ディープラーニング・深層学習とは何だったのか

いつのまに人工知能との境目があいまいになり、やがて混同されている。このあたりになると実態もよくわからず、もはや名乗ったもの勝ちになってしまい、単なるハッタリになっているケースも散見される。ディープラーニング・深層学習と名乗ってはいるが、実はごく基本的な機械学習のアルゴリズムであるという場合すらある。それでもまったく知識の無い人には違いがわからず、結局は知識ではなく営業力勝負となっている。

■なぜ定着しなかったのか

データ分析の存在理由は何のためかと言えば、意思決定のためである。そして、日本ではデータ分析をもとに意思決定をするという文化がとても弱い。したがってそもそもデータ分析に需要がない。需要がないのだから、それらを使うディープラーニング・深層学習には出番が無かったという当然の帰結であった。

■ディープラーニング・深層学習でどのような問題が解決してどれだけの利益があるか具体的に示されていない

さらに致命的なのは、「で、それでどれだけ儲かるの?」という最も基本的な問いに対しての答えがまったくと言ってよいほど示されなかった点だ。世の中全体から見れば、ごく一部を除いて理論やプログラミングに興味などない。いくら面白い例ができたところで自分の利益にならなければ見向きもしない。もし一時のブームで終わらせたくないのであれば、売れるものを作らなければならなかった。

もっと言えば、ディープラーニング・深層学習を使っているかどうかなどどうでもいいのである。求められているのは、簡単に使えて問題が解決して利益になる、そういうツールであった。

■データ分析の重要性を理解している企業はブームの前から着手している

データ分析はブームがあるから始めるとか、ブームが終わったから止めるという性質の行為ではない。企業が競争する中で意思決定を行うのであれば必ずそこに存在するはずのものである。したがって、ごく少数ではあろうが、データ分析の価値を理解している企業においてはブームに関わらず行われている。

■ブームで儲けたのは誰か

主にツールを導入するシステムベンダーと、そのベンダーのパートナーであるコンサルティング会社がブームで稼ぐ一方で、ブームが来てから人材を雇ったりツールを導入して、大きく業績に貢献したという企業がはたしてどれだけあるのか疑問である。成功例として上がるのは、1・元々データ分析を行っており、必要なツールを導入した結果うまく機能しているのであって、ツールの導入自体が何か大きな改善を起こしているわけではない、2・大企業の中でごく一部で使われているだけだが、企業全体で使われているように見せている、のいずれかがほとんどであろう。

■今後の展望:ディープラーニング・深層学習という名前は消えてもデータ分析の重要性はなくならない

もう1・2年もすればディープラーニング・深層学習という言葉はまた聞かれなくなるだろうが、だからと言ってデータ分析の重要性が増すことはあっても減ることはないことはデータ分析に関わっている人なら誰しも感じていることだろうと思う。総じて若い人の方がデータ分析に関する感度が高いと思われ、今後経営者の世代が変わっていけば、よりデータ分析への需要は増えるだろう。ただし要求されるのは基本的な集計とコミュニケーションが主であり、今回のディープラーニング・深層学習ブームで話が出た高度な統計学や機械学習が要求されるレベルになるまでにはまだまだ時間がかかると予想される。

そんな中で一部の企業だけが高度なデータ分析に力を入れ、そのほとんどが専門性に特化した小さい企業となる中で、ほんのわずかながらもデータ分析を力に変えることに成功した企業が業績を伸ばしていくという構図になるのではないだろうか。

■元ネタ

データサイエンティストブームを総括する人工知能ブームを総括する(2018年頃用)に続く総括シリーズ第三弾、というわけで、「データサイエンティスト」「人工知能」を「ディープラーニング・深層学習」に変えて、あとはほぼ変わらずというのもいままで通り。今回はさらに「どのような問題が解決してどれだけの利益があるか具体的に示されていない」を追加した。

最近の流行語であるこの3つだけを見ても、新しいブームは結局同じことを繰り返しているだけということがよくわかる。次のブームも、その次のブームもそのほとんどは同様だろう。しかし、それらの中からクラウドのように本当に変革を起こすような事例が出てくることもあるため油断はできない。本質を見極めると口で言うのは簡単だが、未来を予想するのは本当に難しい。

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タグ:ディープラーニング 深層学習 バズワード ブーム 予測


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