データ分析とインテリジェンス

意思決定する人と分析する人との役割分担について

■意思決定者と分析者が同じであるのは当たり前ではない

経営企画・マーケター・コンサルタントなどは通常意思決定の前に分析を行うが、自分が意思決定するための分析を自分で行っている人が大半だろう。それを当たり前と考えている人の方が多いかもしれないけれど、この状況は必ずしも正しくない。

日本ではインテリジェンス自体があまり知られていないのでなじみが薄いが、国家や軍隊では、情報(インテリジェンス)と意思決定は百年以上前から明確に区別されており、ビジネスの世界でも今後同様になっていくであろう。

意思決定者が自分で情報を集めて分析することの危険性にピンと来なければ、日本軍の大本営が情報を無視して独善的な作戦を行った結果どうなったかを思い出してみるといい。それと同じことである。

■デメリット

では、意思決定者が分析を行った場合どのようなデメリットがあるだろうか。まず真っ先に考えられるのは、中立性の欠如である。典型なのは意思決定者が自分の企画を通したいという希望や、何等かの先入観を持っている場合で、その考え方に合う情報だけを探してしまうというのはよくあること。結論ありきで自分に都合の良い情報を集めてくるので偏ったり間違えたりが発生する。第三者による評価が行われなければ、間違えた情報を元にした企画が走り、被害を蒙るのは現場ということになる。

次に、独善的になり暴走が止められなくなる危険である。人の話を聞かず勝手に決めることが当たり前で、批判や監視がされなければ権力が腐敗するのは当然のことである。

■メリット

一方で意思決定者が分析を行う場合のメリットも存在する。分析した本人が意思決定をするので、分析が無視されるといったことが起きなくなる。データアナリストが必ず経験するように、どれだけうまく分析したとしても意思決定者に無視されてしまえばそれで終わりである。意思決定者と分析者が同じであれば、このようなことは起きず、分析と意思決定が直結する。また、エンジニアリングのスキルがあれば、実行者も兼ねることで非常に速い改善を行うことができる

■同じでよい場合

以上から、意思決定者が分析を行ってもよい状況としては

  • ○失敗しても致命的でない
  • ○第三者評価ができる
  • ○後の検証が容易で誰でも同じ評価ができる
  • ○修正がすぐできる

あたりに限られるのではないか。言い換えれば、これ以外の状況では意思決定者が自らのために分析することは非常に危険を伴う、ということでもある。

対策としては、ある程度の規模の企業であれば内部に分析担当者(分析の専門家ではなくインテリジェンスをマネジメントできる人)を置いて企画と情報を切り離す。専任で置くほどの業務量がなければ、定期的に第三者評価を外部に依頼することで健全性を保つよう試みるのがよいだろう。いずれにしても、意思決定者と分析者が同じであることの危険性をまず認識することが重要であることに変わりはない。

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タグ:役割分担 データ分析プロセス インテリジェンスサイクル


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