データ分析とインテリジェンス

データ分析とは何か

■何も特別なことではない「データ分析」

ビックデータやデータサイエンティストという言葉が流行り始めて2・3年経つが、どうも何か特別なことをしていると勘違いしている(させられている)人も多いようである。たしかに統計学や機械学習など高度な専門知識を持っている人が必要な部分はあるが、実際のところは競合調査、市場調査、マーケティングリサーチ、商圏分析、CRM、Web解析など、意思決定のために分析された情報=インテリジェンスを作るという意味で本質的には同じである。違うのは目的と手法であり、統計学や機械学習は分析のうちの1つの方法にすぎない。

■分析は「何のため」であるかを明確にすることから始まるインテリジェンスサイクルの一部

データ分析というと専門家が難しい数式や統計を使って何かしていて、自分が関与しなくても任せておけば利益を上げてくれるなどと考えていたらとんでもない間違いである。分析と呼ばれる行いは、実際にはインテリジェンスサイクルという一連の流れの一部であり、分析だけでは始まりも終わりもしない。データ分析の全体像「インテリジェンスサイクル」とはにも載せた図を再掲すると

intelligencecycle
図:インテリジェンスサイクル

これを見ればわかるように、インテリジェンスサイクルは意思決定サイドが「何のため」であるかを明確にすることから始まる。これ以外の方法はない。「今あるデータを使って何かできないか」とか「せっかくツールを導入したのだから使いたい」など「何のため」から出発しない分析は失敗するかほとんどが無駄になるだけだ。

また、インテリジェンスサイクルは「何を知りたいか」という要求を情報サイドに与えたらそれで終わりでもない。情報サイドが作りだしたインテリジェンスを使い、意思決定してそれを実行するという役割が意思決定サイドには残されている。せっかくデータ分析を行っても、意思決定サイドが作られたインテリジェンスを無視したり、意思決定しても実行しなければ全てが無駄になり、1円利益も生むことは無い。主体となるのは意思決定者であって情報サイド(アナリスト)ではない。

なお、このインテリジェンスサイクルでは意思決定サイドと情報サイドで役割分担を行っている。これは意思決定者が自分で分析することには色々と問題があるためで、この事に関する議論は意思決定する人と分析する人との役割分担についてを参照のこと。

■データ分析で何もかもが解決するわけではない

データ分析を魔法の杖の如く万能であるという考えも間違いである。データ分析そのものが利益を生むわけではなく、あくまでも意思決定の質の向上に寄与するに過ぎない。局地的にはともかく、データ分析を始めればいきなり業績が劇的に改善するなどというのは夢物語で、あってもごく例外である。本当に必要なことは、長い時間をかけてデータ分析を意思決定に使う文化の醸成・知識の蓄積・着実な実行である。

■データ分析を使って勝ち残るか、しないで負けるかの2択しかない

インテリジェンスを役に立たないと無視することはもはや許されない。今までそれが通用していたのは日本にインテリジェンスを用いて意思決定を行う文化があまりなかったせいで、周りも誰もやっていなかったからというだけの話である。アメリカを見れば、50年も前からビジネスにおけるインテリジェンスについてまとめられている本が出ているが、日本ではせいぜい個人の経験を書き連ねている本と入門書ぐらい(それが悪いわけではないにしても)で、その遅れは50年どころではない。

これから先、テクノロジーの進化や外国企業との競争の中で、益々データ分析、すなわちインテリジェンスの重要性が増してくる。数年程度では変わらないかもしれないか、長い期間で見たらインテリジェンスを使う企業と無視する企業で大きな差になってくるだろう。早く始めれば始めるほどその恩恵を受けられるのであるから、今すぐに始めるべきだ。

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タグ:経営者・マネージャー向け データ分析


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