データ分析とインテリジェンス

定期レポートを効率化する

■油断すると足を引っ張られる定期レポート

どこの企業でも多かれ少なかれ存在する定期レポートだが、作るのが面倒なわりには実は誰も読んでいなかったり、作り方が悪くて毎回膨大な時間がとられてしまったりと、放置していると結構ひどいめに合うこともしばしば起きる。誰かに任せるから自分には関係ないと思っているならばそれは勘違いで、その分その誰かの時間が無駄なレポートに費やされる。自ら効率化を提案してきたり、ましてや自力なんとかしようなどという人はごくまれである以上、気がついた人がなんとかするしかない。

外部に依頼している場合であれば、そのレポートがそもそも必要なのかなどということは考慮されることもない。むしろ時間がかかるということは外部にとっては報酬が増えるということであり、改善を提案するのはよほど奇特な人だけである。

■本当にそのレポートが必要なのかを調査する

定期レポートというのは定期的に作られていることだけが存在理由になっていることも多く、定期的に作られてはいるけれどもほとんど誰も見ていない、あるいは一部だけあれば十分といったことがよくあるどころかむしろ全部が読まれているのがまれで、ましてやそれが次の行動に結びつけられているなんてことはもっと少ない。そのレポートが必要かどうかの検証など誰もせずただ惰性で作られているだけで定期的に金と時間が垂れ流されており、無駄以外の何物でもない。

そこでまず真っ先にやるべきことは、そのレポートは誰がどう使っているのかを確かめることになる。無駄だとわかっていることに金や時間を取られるなど馬鹿馬鹿しいにもほどがあるので、まずこの調査を行なわなければならない。ところが現状を変えることを好まない人もいるし、前任者が「お前は何をやっていたんだ?」と言われることを恐れて余計なことをしないように口を出してきたりということもあり、動く際には適度に様子を見ることもまた必要。とはいえ業務の効率化を喜ばない人は少ないので、最初にできるだけ偉い人に話を通して後ろ盾を得ておけば動きやすくなる。

また、大企業だといろいろなところに転送されていたりしてどこでだれが使っているのか実態を把握することが困難ということもあり、身近なところで使われていないからと作成しないでいると思わぬところからクレームが来たりすることになるので注意して進めること。ただし、調べているうちに提出が遅れた、なんて本末転倒なことにならないように。

外注している場合、その仕事を受けている側からするとボタン1つと簡単なパワポ作成で月数万~数十万円が転がり込んでくる「おいしい仕事」なので、「そのレポートは本当に必要ですか?」などと問いかけてきてくれることを期待するべきではないし、後になって文句を言うのはお門違い。必要なければ依頼しなければよいというだけの話だ。

次からは実際にレポートを作成する際に気を付けることについて考える。

■処理はできるだけまとめる

定期レポートに限らないが、まとめられる処理は一括で行うというのは基本。アドホックな場合と違って定期レポートの場合は後から増築した旅館のようになっていて同じ処理を何度も繰り返すなど無駄な処理が発生しやすく、これを整理することで時間の短縮ができる。また、整理しておけばさらに内容の追加や修正するのも楽になる。

例えばある月の性年代別の売上を集計をしようとする場合を考える。まずIDを性年代別にファイルに分け、さらにそれぞれについて売上を計算して最後にエクセルに1つづつ貼り付ける、なんて少し慣れている人からみれば馬鹿馬鹿しいことがExcelやSQLに慣れていない人が作っていると起きるが、これは時間がかかるだけでなくミスを誘発することも多くなるので、速やかに直すべき。

■出力は1度にして細切れの時間をなくす

まとめられる処理を1つにしていないのと同様に、出力を都度行うために誰かが張り付いていなければならず、他の仕事ができなくなることがある。これもできる限り出力は1度にすることで、その間別の仕事を進めるようにすべき。5分に1回拘束されるのと、30分かかっても1回で作業が済むのとでは大違い。

なお、なぜこのような無駄な処理がそのまま放置されているかといえば、「引き継いだときそうだったからそのままやっている」ぐらいしかないので早々に効率化・自動化を進めよう。

■パワポに張る前にexcelで加工する

レポートは最終的にパワポにまとめることが多いだろうが、出てきたデータをそのままパワポに張っていく、という作業は数が多ければ多いほど手間が増える。そこで、データを直接パワポに張りつけるのではなくいったんデータ加工用のExcelを介在することで効率化を進める方法を検討しよう。

これも具体例を挙げると、上記のような性年代別売上と全体の売上を同時にレポートに書こうとすると、

  • 1・全体の売上を出力して貼り付け
  • 2・性年代別売上を出力して貼り付け
  • 3・性年代別売上の合計と全体の売上があっているかを確認
  • 4・パワポに張り付け

という手順を踏むことになるが、この方法も1つ2つならともかく、5つ10つとなってくると積み重なって結構な手間になり、同時に間違えるリスクも増大する。そこで直接パワポに張りつけつのではなく

  • 1・性年代別を出力してExcelの所定の位置に張り付け→計算式で自動で合計を算出→そのままパワポ貼り付けられるように順番や数値ならカンマ区切りなどの書式を整理
  • 2・パワポに張り付け

とすれば、結果の確認や張り付けは1回で済み、その他細かい加工も減るのでこれだけで間違えた時の修正時間を加味すれば半分どころか4分の1ぐらいには簡略化される。同じく日別の売上推移グラフも

  • 1・日別の売上を出力
  • 2・グラフを作成
  • 3・色やサイズを修正
  • 4・パワポに張り付け

をその都度繰り返していると膨大な時間がかかるが、これも所定の位置に日別の売上データを貼り付ければ(日数の調整は多少必要でも)自動でグラフが作成されるようにしておくことでパワポに張り付けるだけになり、相当な時間の短縮となる。

■簡略化に時間や手間をかけすぎると本末転倒になる

慣れれば10分の仕事を1日かけてほぼ0にしたとしても、その作業が月に1回ならば投資した時間を回収するのに1日8時間として4年かかる計算になる。そのころには内容が変わっている可能性は十分にあり、あなたもその会社にいないかいても担当をはずれて作業しないかもしれず、それ以前にその会社も存続しているのかも怪しい、などという状況で回収できる見込みの少ない投資を行うことに正当性は見いだせない。簡略化や自動化しないことで気持ち悪いのは理解できるが、その分仕事の時間は他の仕事に当てるべきで、どうしてもというのであればプライベートの研究課題として取り組むこと。

これが毎日の作業であれば2か月程度で回収できるので十分に行う価値はあるし、収支がトントンか多少マイナスぐらいなら経験を積むことへの投資にもなるので、この場合も積極的に行うべきだ。要するにバランスである。

■過度な汎用化はかえって無駄になる

csvファイルをコピーするのにも、10行のデータと、1億行のデータではやり方が変わる。レポートの作成も同じで、10行ならコピペで済む話を1億行でも対応できるようにすることは必ずしも正解ではなく、毎月1万行増えていくデータを処理するのに100年後の心配をしてずっと使えるように作りこむのも意味がない。

この問題が放置されやすいのは、そもそもスキルが無ければこのような発想はできないので上級者であるがゆえにやってしまいがちな失敗(とは認識されづらいが)であり、同じレベルの人がいないとそれが「無駄な汎用化」であることに誰も気がつくことなく野放しになってしまうからだ。

また、高度なことをやらないとレベルが上がらないというのは確かではあるがそれはまた別の話で、まずやるべき最低ラインを抑えた上で空けた時間でさらなる取り組みができるよう交渉しよう。

■他の人を手伝う

自分の担当ではないからとなりの部署で苦労しているのは承知しているが放っておくことが当たり前になっているが、その人が無駄な仕事をしているということは、別の仕事ができないということであり、その結果その部署の仕事が滞って会社全体に影響し、結局巡り巡って自分の仕事の邪魔になっているということを思い起こそう。そう考えれば、少しぐらい手を貸すことをためらうことはないはずだ。

■大したことのない積み重ねが大きな差を生む

大したことのない日常業務が大半であるならば、それらを少しづつ改善すればいずれ大きな差を生むことになる。そして自分も含めて日々の仕事はその大したことのない日常業務が大半を占めるだろう。だとすればこういった一つ一つの積み重ねがやがて大きな差を生むことになると思うのだがどうだろうか。

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タグ:データ分析について考えたことのまとめ 生産性 改善 レポート


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