データ分析とインテリジェンス

データ分析の始め方

■最初にシステムやツールを導入したり、データサイエンティストを雇う必要はない

ここ数年のデータ分析ブーム(?)でことさらに取り上げらているのはビックデータとデータサイエンティストであるが、流行につられてシステムやツールを導入したり、専門家を雇い入れたところでまともに使うこともできずに失敗するのがオチである。実際のところ、ここ最近になって急にデータ分析を始めた企業で成功している話をほとんど聞いたことがない。

だからと言ってデータ分析を行わなくて良いかと言えば、それは間違いである。データ分析に基づいた意思決定を日本企業全体が行って来なかったのが異常であり、異常な世界の中にいる人はその異常さに気が付かないというだけの話である。

では、いったいどうしたらデータ分析を競争力に変えることができるのかについて考察する。

■道具を揃える前に、使う人が何をどうしたいか考えなければならない

高価なシステムやツールはもちろん、データサイエンティストと呼ばれる専門家も結局のところは目的を達成するための道具にすぎない。したがって、目的が曖昧な状態で道具だけを揃えたところでうまく使えるわけがない。システムを導入したのに使いこなせないと嘆いている人は、これから料理を始めようとする人が、最先端のシステムキッチンと豪華な調理道具を取り揃えて満足している姿を思い浮かべてみればよい。まず簡単な野菜炒めから始めるなら、必要なのは野菜を切る包丁と、炒めるためのフライパンで十分だと思うだろう。あるいは、イチローの使っているシューズがあれば同じように走れるとか、錦織圭と同じラケットを使えば同じように打てると考えて道具を購入する人を考えればよい。そんなことがあるはずないのにと馬鹿にして呆れることだろう。データ分析も同じことである。

■データ分析を始める前にやるべきこと

データ分析を始める前にやるべきことは「データ分析に基づいた意思決定を行う」事を決意した上で、全社に向けて宣言することだ。さらに「都合の悪い情報を歓迎し、間違えた情報を上げても罰することはない」ことを付け加える。ただし言っていることとやっていることに違いがあれば信頼を失う。社員や部下はよく見ている。掛け声だけで分析した情報を上げても使われない、それどころか都合の悪い情報を上げたら怒られるということになれば、すぐに情報を上げなくなる。最初に失敗すればその後への悪影響は計り知れない。

史記に書かれている秦の商鞅が行った立札の話が参考になる。新しい法律を浸透させるために、「この木を北門まで運んだ者には賞金を与える」という立札をだした。しかし誰も運ぼうとしないので賞金を上げたところ、1人の男が運んだところ、本当に賞金が与えられた。新法の実施は本気だということが国民に伝わった、という話である。自発的に情報を上げてくれる部下がいれば良いが、いなければ誰か1人信頼できる社員をサクラにし、実際に悪い情報を上げさせ、問題ないどころか奨励されることを示してみるのも方法だろう。

システムについてはわざわざ金をかけなくても、手元にある道具(=Excel)と人で始めればよい。より便利な道具や、高度な人は必要になってから考える。営業トークが魅力的に聞こえてきたら、本当に今必要なのか一度立ち止まってよく考えること。

■データ分析を始めるにあたり最も重要なこと

実際に始めるにあたり最も重要なことは、目的を明確にすることである。それも「売り上げを上げる」などいう曖昧な指示ではなく、サイトのこのページの直帰率を下げたいなど、特に初期段階においてはより具体的で、実行しやすい課題について行う方が良い。なぜかと言えば、データ分析に基づいた意思決定を行う文化の醸成と信頼感をつくる上で最初に小さな成功体験を重ねた方が定着しやすいからだ。

また、データ分析は思いついた時にだけ行うのではなく、日常業務に組み込み、長期的に続けていくことである。1度や2度何かしたところで劇的に業績が改善するなどというのは幻想である。

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タグ:データ分析 データサイエンティスト システム・ツール ビックデータ


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