データ分析とインテリジェンス

日本企業でデータ分析がまともに機能しないのも当然・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(5)

■推測や仮定が真実に倒錯する

しかし冷静に読んでも大島電の中で、傍点を付した部分は明らかに推測または仮定である。親独という眼鏡をかけて読むと、推測や仮定が真実に倒錯するから、情報は二線、三線と異なった複数の視点の線の交叉点を求めないと危険なことをよく示している。

スターリングラードでの戦いが始まる頃、ドイツにいた大島浩からの電報についての著者の評価である。電報には「~べきを以て」「~というべく」など、仮定がさも事実のように書かれていることに注意を促している。

この電報の場合は大島大使のドイツよりの姿勢が目を曇らせたのだが、ビジネスの場合は代理店やコンサルティング会社が作るキャンペーンの報告書などでよく現れる表現である。もちろんその場合は、結果をよりよく見せたい、失敗を覆い隠したいという願望が事実と仮定を混同させる。報告書を読む側は注意が必要である。

■評価されて出世していくためには

大本営とは陸軍の俊才が集まるところであった。俊才とはこんなときに、わかった顔をして引き受けるのだろうか。目から鼻に抜ける人間が天下の俊才というのだろうか。嘘でも丸めて本当のように喋るのが大本営参謀であろうか。しかし、どうもそうらしい。

ソ連担当の第五課勤務になってすぐ、著者が突然「明日からソ連戦況の説明をやれ!」と当時の情報部長有末中将から言われたので、「まだソ連については詳しい地名も覚えていないので、もう少し暇をくれませんか?」と言ったところ、有末部長に怒られたことに対する感想。どこの世界も同じなのだろう。できなくても「できる」と言い、知らないことを「知っている」と言える人の方が大多数にとっては有能な人に見えるのだからやむを得ない。それが解っている人が抜け目なく動き、評価されて出世していく。たまらないのはそのような連中の勝手に降りまわされ、失敗のツケを払わされる現場である。

■日本企業でデータ分析がまともに機能しないのも当然

戦争をしている相手国の担当課が出来るのは当然であるが、これが太平洋戦争開戦後約半年してからのことだから、そのスローモーぶりには驚かざるを得ない。

昭和17年4月に第六課が米、英担当課となったことについて。情報は戦略に先行しており、その情報を元に戦略を立てると考えるのが自然であるが、どうもそうでもなかったらしい。国家の命運をかけた戦争ですらこのありさまなのだから、現在の日本企業でデータ分析がまともに機能しないのも当然だろう。

次回:(6)・・・大本営の情報無視は、現在のビジネスでもまったく同じだ

『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析 目次

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