データ分析とインテリジェンス

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データ分析で稼ぐ戦略を考える・・・データサイエンティストの場合

■データ分析で稼いでいく手段を考える

データ分析を成功させる方法を考える(1)分析者に実行権限も与えたらどうかは主にデータ分析を使う側である経営者・マネージャーがデータ分析を成功させるにはどうすればよいのか、という視点であったが、今度は現場のデータ分析者や企業がデータ分析を武器にして稼いでいくためにはどうするべきかについて、データサイエンティスト(データ分析の専門家)、データアナリスト(データ分析のできる人)、データ分析をビジネスにする企業(コンサルティングや技術派遣)に分けて考察する。今回は第1回として、データ分析の専門家の場合である。

■データサイエンティストで稼ぐのは今もこれからも厳しい

ここでのデータサイエンティストとは、高度な統計学や機械学習を使うデータ分析の専門家という意味である。どこからが高度かは議論の分かれるところだとは思うが、データサイエンティストというかデータ分析職に就くための最低限のスキル要件とはでいう最低限ラインは超えていることは必要だろう。

さて、以前現在の日本においてデータアナリストであることはハイリスク・ローリターンで書いたように、データ分析を専門にして活動するのは現在も将来も非常に厳しい状況にあるというのが現実である。その上高度な専門知識を持ったデータサイエンティストとなればなおさらで、ほとんど活動の場は無いと言っても良く、知識を身につけるための投資に見合った報酬を得られる可能性はかなり低い。数年・数十年スパンで見れば徐々に改善はするかもしれないが、この状況が劇的に変化するということはないだろう。

以上から考えると、そもそもデータサイエンティストを目指すことがそもそも良い(?)選択であるかは再検討の必要がある。専門知識を生かすという意味でならば学者や研究者のようなアカデミックな世界も常に視野に入れた方がよいのではないだろうか(それはそれで大分苦労があるようだが・・・)。それでもデータサイエンティストとしてビジネスで活動したいという人のために、どうしたらいいかを考えてみたい。

■データ分析を使う数少ない企業に入り込めれば良いが、あまりに狭き門

高度な統計学や機械学習を業務に生かせる企業が全く存在しないかと言えばそうでもないので、どうにかしてそういった企業に入れればそれに越したことはなく、それ以上良い選択肢というのは思い浮かばない。しかし、そもそも数が圧倒的に少ない上に大々的に募集をかけているわけでもなく、まず入り口にたどり着くまでに一苦労である。うまく入り込めればそれでよいが、希望しても入社できるとは限らないし、あるいはまだそこまでスキルが無いという場合もあるだろう。

■希望している企業に入れない、あるいはまだスキルが足りない場合はどうするか

たとえ簡単な分析だけしか使わないような環境であったとしても現場を離れないでおいた方が好い。普段の業務の中では分析プロセスやコミュニケーションといった全体の流れを意識して身に着けながら業務の中で高度な知識を生かせる方法を模索しつつ、技術面の勉強はプライベートでカバーしながらチャンスを伺う、という形が良いのではないだろうか。座学で学べる事は一部であり、統計学やプログラミング技術は身につけられるが、企業の中で様々な考え方の人とどうやってコミュニケーションを取るかまでは学べず、しかも後者のコミュニケーションの方が好かれ悪しかれ重要なことも多いためだ。

■コンサルティング企業はどうか

データ分析のコンサルティングを行っている企業に入る方がハードルは低いが、コンサルティングである以上クライアントありきであり、そのクライアント側のリテラシーがとても低ために、結局のところは出来ても基本的な分析がせいぜいで、高度な分析を使った仕事ができる機会は少ないというのが一般的であろう。もちろん無いことは無いだろうが、割合としてはさほど大きくないと予想される。従って、途中でコンサルタントやマーケターなど分析をその業務の一部として使う職種や、データ分析プロセスをマネジメントする側に移行しない限り、長居するのは難しいだろう。

■すでにデータサイエンティストとして活動している人について

現在すでにデータサイエンティストとして活動しているがこれからも稼ぎ続ける事が出来るのかもまた問題である。あと1・2年もすれば終わるであろうデータサイエンティストの流行が終わればその地位や報酬が確保できなくなる人も出てくるであろう。

所属する企業のデータ分析に対する姿勢によって、その後の様子は大きく変わるであろうと思われる。1つは流行につられてデータ分析を導入している企業の場合で、この場合は今のうちに企業の中で結果を出して地位を築いておかなければやがてデータ分析に対する取り組みそのものが縮小し、居場所がなくなったり他の業務を担当しなければならなくなる危険がある。もともと流行に乗っているだけなので、結果を出そうにもそもそもきちんと取り組めるのかという問題もあり、早めに別の企業への移動も考えておくべきだが上述のように選択肢が非常に少ないため、一時的にしろ恒久的にしろキャリアの修正まで含めて考えておいた方がよいかもしれない。

もう1つは本当にデータ分析に価値を置いている企業にいる場合であるが、こちらの場合データ分析業務には携われるが、大学などで機械学習を専攻して来た人や、他分野で統計や数学を使っていて、そこからデータサエインティストになろうとする人の増加などもあり、データ分析を重んじるわずかな企業に人が集中し、ポジションに対する競争の激化が起きるのではないかと予想され、すでにそうなっているらしい企業も散見される。マネジメントに進むか専門家に進むかで対応は分かれるだろうが、今の地位が安泰であるということはあるまい。

■データサイエンティストの有効性を広めるにはどうしたらいいのか

データサイエンティストの有効性が広まれば、導入する企業も増え、雇用が生まれる。そして結果を出せば報酬も上がり、次の選択肢も増える、という良い流れが期待できる。ところが、データ分析が有用であることを示すためにはまずチャンスが必要ではあるが、そのチャンスそのものが与えられない、リソース不足な上に過度な期待をされる、これから始めるのに高度な技術は必要ないなど、データサイエンティストがその力を示そうにも八方塞がりなのが現状である。

対策としては本来データアナリスト(データ分析のできる人)の仕事であるが、より簡単な分析(それこそクロス集計レベルから)から初めてデータ分析の力を示し、徐々に文化を浸透させて高度な分析ができるようにしていく方法があるが、これには途方もなく長い時間がかかるだろう。そもそもデータ分析を基に意思決定する文化が弱い日本においては、まず「データ分析を基に意思決定する」ことから始めなければならず、高度な分析を使えるようになるになるまでには何年どころでは足りないかもしれない。よほど協力な後ろ盾でも無ければ時間を無駄にするだけなのでそのようなことに時間を費やすのはお勧めできない。

となると結局は「データ分析を重んじている企業」を見つけて入るというのが最良かつ唯一の選択、というのが結論となる。データ分析はデータサイエンティストだけではなく意思決定者と実行者とデータが必要であるために独立しては動けず、必ず意思決定者に従属する仕事である以上これはやむを得ない。まずは足元を固めて、余力があれば啓蒙活動を行えばよい。

■今すぐ飛び込むか、様子を見るべきか

流行っている今なら求人もあり、データ分析職でどこかに入り込むチャンスは以前より増えているのは確かである一方、データサイエンティストがここ2・3年で出てきた名称である以上、そのキャリアも確立されていない。今後より専門知識が生かせる機会が増えるのか、データ分析プロセスマネジメントとしての役割が期待されるようになっていくのか、あるいはこのまま(場合によっては名前すら変わって)失速して細々と続くのかも不透明であるため、長期的に稼ぐ戦略が見えないという状況である。

ひとまずデータアナリストとして参加し、様子を見ながらキャリアを変更していく、というのも1つの手段であろう。次回は、そのデータアナリストとしてデータ分析で稼ぐことを考える。

第2回:データ分析で稼ぐ戦略を考える(2)データアナリストの場合

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タグ:データサイエンティスト キャリア


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