データ分析とインテリジェンス

大本営の情報無視は、現在のビジネスでもまったく同じだ・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(6)

■世界情勢判断の甘さ

底流を見つめると、日本の国策を決定するための基礎となる最重要な世界情勢判断の甘さが、大本営自身をも翻弄していたことが分かる。
その挙句、大本営は周章狼狽する。打つ手が後手後手になっていく。そのツケは、当然ながら第一線部隊が血をもって払わなければならなくなる。

「企業の戦略を決定するための基礎となる最重要な市場情勢判断の甘さが・・・」とでも書き換えてみれば、まるでまともに情報を使うことをしない現在の企業の事を言っているようである。敗戦から何も学ぶことなく来てしまったのではないかと思うほど、その類似性には驚かされる。実際そうなのかもしれないが。

■いやしくも国と国とが戦争する以上

いやしくも国と国とが戦争する以上、敵がどんな戦略、戦術、戦闘法をとってくるかは、戦争を起す以前から研究して、それに適応する軍備、教育、訓練、補給、兵器、築城を準備するのは当然のことであり(後略)

太平洋戦争の真っ最中である昭和18年10月に、戦史担当の第十課と戦術戦法担当の第十一課が廃止されたことに対する著者の嘆きである。戦っている途中で敵の研究をする部署を廃止するというのはビジネスでいえば競合調査を止めるということで、どう考えても馬鹿げているとしか思えない。言及がないのでもしかしたら別の部署に吸収されているだけなのかもしれないが、だとしても理由がよくわからない。もっとも現代のビジネスではさらに状況は酷く、最初から市場調査や競合調査もまともにしていない企業が大半であるが(リサーチ会社に丸投げして報告書をもらっているだけの行為を調査とは呼ばない)。

■この期に及んで

この期に及んで、米軍戦法を研究せよというのだから、泥縄もいいところであった。(中略)野球の試合が中盤以降になって、相手の攻撃にてこずりだして、「さあ、データーを調べよう」というのと同じだ。

昭和18年も終わりに近い頃、第六課(英米担当)に配置換えになった著者が「米国班に所属して、米軍の戦法を専心研究してもらう」と言われて驚愕したと書いている(P58)が、すでに開戦から2年も経とうというのにこれから相手の戦法を研究しろなどと言われたら誰だって驚くであろう。昭和18年ということはすでにガダルカナルの撤退が2月、山本五十六大将の戦死が4月、この時期はニューギニアではサラモア、ラエが奪還されて撤退中という状況で、「何を今更」と思うのが普通の感覚だ。しかし、これが実態なのであった。そしてその間にも情報も補給もない中で第一線は戦っているのである。

大本営を愚かであると言うのはたやすい。しかし、現在の企業の情報無視・軽視ぶりは、戦中の大本営と一体どこが違うというのだろうか?ビジネスという戦場の中で、競合調査もろくに行わず、ただやみくもに第一線を走らせている姿が大本営と同じようにしか見えないのだが、何か違うのだろうか。

次回:(7)・・・相手も自分と同じ価値観であると決めつけてはいけない

『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析 目次

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