データ分析とインテリジェンス

フィクションは絶対許されない・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(10)

■不明は不明として

正真正銘の事実を掘り起こすことで、美辞麗句を並べた美文で誤魔化せるものではない。(中略)フィクションは絶対許されない。不明は不明として、ノンフィクションでなければならなかった。

情報の仕事にフィクションは不要である。このあたり前のことがどれだけ守られているだろうか。契約を取るために、あるいは評価されるために自分の都合の良い仮定と解釈を積み重ねたその実単なるフィクションで満たされた報告書が作られていないだろうか。

あるいは飾った言葉とかっこいいパワポでまとめられた中身のないレポートも同罪である。最低限の化粧は仕方ないにしても、きれいなパワポを作るその時間をどうしてより深い考察に当てることをしないのか。聞く側のリテラシーが低いから誤魔化しても解らないからというのは言い訳だ。

■「彼を知り、己を知るは百戦危うからず」

情報戦争は、当然戦争の起こる前から始まっているのである。(中略)「彼を知り、己を知るは百戦危うからず」と孫子はいうが、敵を知る情報は、このように長年月をかけて収集されているものである。国が戦争をするには、それだけの情報上の準備が必要であって、眼前の感情に動かされて、興奮して立ち上がるものではない。

戦うためには情報を「戦争の起こる前から」「長年月をかけて収集し」「戦争をするには」「それだけの情報上の準備が必要」なのである。企業も国家と同じであるが、このことを理解している人が経営者も含めてどれぐらいいるだろうか。業績が急激に落ちてから、あるいは競合が新製品を出してから、あるいは新規参入企業がシェアを一気に奪ってから後になって大騒ぎしても遅いのだ。

そのためにも、新入社員や事務員にWebや新聞記事を集めさせるようなことをさせて満足するのではなく、しかるべき人材を当て、予算を割り振り、普段から情報収集に努め、分析を行わなければならない。

■あらゆる分野の情報から、その国の戦争能力をはじきだす

事前に収集する情報は記述のような軍事的なものだけではない。例えば経済、資源、人口、産業、教育、船舶量、歴史、思想といったあらゆる分野の情報から、その国の戦争能力をはじきだしていかなければならない。

企業に当てはめれば景気動向、財務状況、従業員数、オペレーション力、社員の能力、提供サービス、経営理念などであろう。Web・新聞・雑誌・セミナー・顧客からのヒアリング・社員のブログやSNSなど主に公開情報を中心に集めていく。

このあと本文では収集の際のスパイ網の話になるが、企業間の競争においてはスパイはご法度ということになっている。ただし、自分達がやらないからといって競合が何もしていないと考えるのは、自分が泥棒しないから泥棒は存在しないなどと言うのと同じで危険であり愚かである。特に影響力のある大企業や特殊な技術を持っている企業は、全世界から常に情報収集の対象となっていることを自覚し、企業秘密を守らねばならない。

次回:(11)・・・爵禄百金を惜しんで、敵の情を知らざるは不仁の至なり

『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析 目次

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