データ分析とインテリジェンス

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競合調査とは何か

■競合調査の究極の目的は次に何か起きるかを予測すること

何が起こるかわかれば先手が打てる。孫子に言う「明君賢将動きて人に勝ち、成功の衆に出ずる所以の者は、先知すればなり」である。ビジネスを行う中で競合を含めて、外部の環境を見ることなしに盲目的に進めるなど自殺行為に等しい。ところが、この競合調査に力を入れている企業というのは案外少ない。行っていても組織的に行われず、特定の個人に任せきりになっているとか、Webや新聞の情報を集めて共有しているだけとか、競合調査とは言えないことを競合調査と言っていることも多い。

そこで今回はそもそも競合調査とはどういったものかの解説である。

なお、本来であれば使うべきは「コンペティティブインテリジェンス」で、専門家の集まる会議(SCIP: Strategic and Competitive Intelligence Professionals)もある分野なのだが、日本ではまったくと言って良いほど浸透していないため、ここでは競合調査という言葉を使っている。

■データを集めるだけでは調査とは言えない

競合調査とは同業他社のWebサイトや新聞記事を集めて、それをみんなに配ることだと思っている人が多いが、せいぜい、ごく基本的な情報についての共有しかなく、データを集めたところでそのデータから何が読み取れるかの分析もしていなければ、何が起きるかの予測も次にどうするべきかという提案もない。結局、共有のお知らせは毎日流されても読んでいないとは言いづらいので、読んでいるふりはされるが、実際はほとんど読まれていないのが実態である。担当している側も言われたからやっているものの誰かからフィードバックがあるわけでもなく、淡々と行っていおり、これでは役に立つ情報が作られることを期待するのが無理な話だ。

■競合だけが調査対象ではない

直接の競合企業だけを監視することが競合調査ではない。まずはポーターのファイブフォース分析でいう「競争企業間の敵対関係」「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」「供給企業の交渉力」「買い手の交渉力」全てが調査の対象である。他にも景気動向、消費者動向、法律改正・規制(あるいは規制緩和)といった政治状況、国際的に展開している企業であればその国の政治・経済・文化など、調べることはたくさんある。それも事実を調べるだけではなく、変化が自社に与える影響とその対策まで考えての競合調査である。

もちろん全ての内容に力を入れることなどできないだろう。限られているリソースの中で、重要性とインパクトの大きさから優先順位を決めておく必要がある。

■長期的・継続的に取り込むこと

ある日突然思いついた時に質問して「なぜこのようなことも解らないのか」などと部下を責めたところで無駄である。言われた方は驚き、時には呆れているだけだ。長期的・継続的な取り組みの中で、様々な課題に対して優先順位をつけ、何を知りたいかを明確にしておき、リソースを割り振り、見合った報酬を出してそれでもなお力量不足であるとなってから言うべきだ。

■何もしないならやる意味がない

これは再三言っていることだが、例え競合や外部環境の状況がわかったとしても、その情報を元に何の行動も起こさないのであれば競合調査をすることは単なる浪費なのでやらない方が良い。調査だけしても何も変わらない。

■新入社員や事務員にやらせる仕事ではない

記事を集めるだけが調査ではない。集めたデータを基に相手の出方を予測し、先手を打つところまでが競合調査を行う理由である。そして、全ての情報が手元に集まることは無い(データ分析に関わる全ての人に・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(1)■情報の任に携わる者の最重要な仕事参照)。結局のところ最後は知識と経験に裏付けられた洞察である。自分の理解や想像を超えた予測などできない。

そのような重要な仕事をスキルや経験のない人に任せてうまくいくはずがないのである。また企業の戦略に大きな影響を及ぼす内容であれば、重要な内容について共有しなければならないこともあるだろう。したがって、幹部クラスやエリートクラスが主導して行うべき仕事である。

■情報収集活動はどこまで行うべきか

基本的には公開情報の収集である。それ以外の方法としては法律違反は論外だが、グレーゾーンをついて情報収集することは露呈した場合のリスクを考え、それに見合っただけの情報を得られるのかを慎重に考えた上で行うべきだが、できるだけ控えた方がいいだろう。ただし、自分がやらないからといって相手もやらないと考えるのはあまりにも無防備なので、守る手段は考えなければならない。

■完璧な予測などできない

最初に言ったことと矛盾するようであるが、完璧な予測などというのもありえない。とはいえ予測ができないからやる価値がないというのも極端すぎる。次の指針を立てる上で競合調査は必要であり、まったくやらないというわけにもいかない。うまく機能するまでには費用と時間がかかるかもしれないが、長期的に見れば投資する価値はあるだろう。

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タグ:競合調査 競合分析 コンペティティブ・インテリジェンス


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