データ分析とインテリジェンス

(2)情報部の地位の低さ・・・『日本軍のインテリジェンス』から現在のデータ分析軽視を考える

■日本軍のインテリジェンスの特徴(2)情報部の地位の低さ

2番目に、情報部の地位の低さである。石原莞爾、服部卓四郎、辻正信、瀬島龍三など有名な参謀はみんな作戦であるが、情報で有名な人などいないだろう。地位が低さは勧誘や配属に現れている。その特徴は

  • ・優秀な人をリクルートするイギリス、閑職扱いの日本
  • ・戦前も戦後も作戦重視、情報軽視

の2つである。

優秀な人をリクルートするイギリス、閑職扱いの日本

インテリジェンス関連の書籍を読んでいると、情報機関がケンブリッジやオックスフォードなどで成績優秀な人員を勧誘しているという描写がよくある。それだけ情報機関に優秀な人材を獲得することに力を入れているのと同時に、インテリジェンスが国家にとって重要であることが国民の間に理解されているということだろう。

日本の場合、成績優秀者は全て作戦に回り、情報には成績の高くなかった人が回されていたようだ。情報を重視していないのだから、当然と言えば当然ではあるのだが。陸軍中野学校に配属されたのはかなり優秀な人材であったらしいが、第1期はわずか20人程度では話になるまい。

戦前も戦後も作戦重視、情報軽視

組織上は同格でも実態は作戦課の権限が強く、情報部からの情報が無視された。何しろ作戦の会議に情報部長が呼ばれたのが1度だけだったという話もあるくらいだ。開戦前では総力戦研究所の結果を無視し、ソ連課によるソ連優性の情報よりもドイツ有利の情報を優先、その後台湾沖航空戦の大戦果が間違えているという報告を無視して捷号作戦を始めたり、ヤルタ会談でのソ連参戦の情報を無視して当のソ連に終戦工作をしようとしたりと、自分の考えに沿う情報だけを選び、客観的情報を軽視した例は(後付けで見ているというのもあるだろうが)数多い。

■現在のビジネスにおけるデータ分析の場合

作戦=経営企画と考えれば同じ構図。それどころかデータ分析を主任務とする部署がないのだから配属のされようもなく、状況は一層悪くなっているとも考えられる。幹部になるのにデータ分析リテラシーは必要ない。それどころかデータ分析が重要などと言えば変わり者扱いである。

■これからどうするべきか

経営企画と同格で、情報・データ分析を主業務とする部署を立ち上げ、幹部候補を配属させる。待遇は経営企画と同じとし、経営企画が独走しないよう、後日情報をどのように消費したかあるは無視したかを検証する仕組みがあってもよいだろう。企画と情報を行ったり来たりするのは互いの仕事を理解するメリットがある一方で、人間関係が近すぎてインテリジェンスの政治化の危険が大きいのがデメリットであり、今後議論されるべき。

マーケティングやWebなど、個別の部署にばらばらにデータ分析担当を配属させるのは、権限の弱さもさることながらセクショナリズムに巻き込まれて機能しなくなるのと、データ分析者間での情報共有も難しい。やはり一か所に集めて必要に応じて派遣する形の方が機能するのではないだろうか。

ただしいきなり部署を立ち上げても、何をしているのかわからない浮いた存在になってしまっては意味が無いので、社員全体に対するデータ分析教育を平行(できれば先行)して行う必要があるだろう。

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