データ分析とインテリジェンス

中小企業のデータ分析戦略を考える

■中小企業はデータ分析をどう取り入れていくか

データ分析の専門家になりたければ中小企業に行く理由はあまりないというのは専門知識を生かしたい人にとっての話であり、中小企業にデータ分析が必要ない、ということではない。ただし、データ分析の始め方で書いたことはどの企業にも共通することではあるが、戦術面では余裕のある企業とはやり方を変えないと太刀打ちできない。なお、今回は分析サービスを提供する企業は考慮外。

■データ分析に力を入れ過ぎない

100を10%改善すれば110になるが、10,000を1%改善すると10,100になる。単純に、規模が大きければ改善の効果が出やすいということなので、規模が小さすぎる段階でデータ分析に力を入れ過ぎても費用対効果は低い。それよりも、コンテンツや営業に力を入れて、規模の拡大を図る方が優先されるべき。かといってデータ分析を全くしないと今度は無駄と機会損失が増えることになり、放置というわけにもいかないので適度なリソースの配分を行う。と言うのは簡単だが、「適度」な配分がどれぐらいかと言うとそれはわからないとしか言いようがないため、各社で試行錯誤が必要だ。

■専任をおくかおかないかは売り上げ数億円程度が境目か

データ分析が専任の仕事として成立するためには、最低でも2-3億円の売り上げは必要になる(※個人的な経験に基づく)。データサイエンティストに要求されるような高度な分析をメインに使うのであれば、もう一ケタ多くは必要だろう。もちろん業種業態、中心がリアルかWebか、力の入れ方、その他もろもろにより大分話が変わるので、あくまでもざっくりと言うと、である。

これはデータ分析担当者に専任で動くだけの仕事があるだけでなく、分析に基づく施策を実行するためのリソースも確保することができるかも含んだ数字である。データ分析担当だけいても実働部隊が忙しくて日常業務以外に手が付けられないのでは意味がない。

この境目を超えるかどうかで、データ分析の取り組みは違うアプローチが必要になる。

■データ分析プロセスをマネジメントする人を探す

ある程度の規模がある場合、経営者が全て面倒を見るというのは不可能なので代わりができる人を探すことになる。ただし、専門家をいきなり雇うのではなく、最初に必要なのはデータサイエンティストではなくデータ分析プロセスをマネジメントする人であるし、いずれ拡大する場合もデータサイエンティストを雇う前に考えるべきことを忘れてはならない。

配置はマーケティング分析のような現場向けでもできるだけ経営者に直結した部署におく方が動きがとりやすい。これは高度な分析よりも、基本的な分析の数とスピードが勝負になるためである。また、競合調査のような戦略情報担当の場合は当然ながらかなり経営者に近くなるので幹部クラスでの登用になる。

問題は探すのが難しい点で、データ分析の知識がありかつマネジメントの能力を持っている人はとても貴重な上に数が少ない。経験者はさらに少ないため、すぐに採用できるとは限らない。

■小規模ならば経営者もしくはマーケターがデータ分析を兼任。しかし・・・

規模が小さい場合はデータ分析の威力が発揮できない上、専任を置いてもそもそも仕事が無い。したがって経営者自身か、もしくはマーケターあたりがプロセスマネジメントと、初歩的であれば分析も行うことになる。が、兼任するとどうしても日常業務に追われて結局データ分析には手が付けられない、という事態になるのは目に見えているため、勤務時間のうち一定の割合は必ずデータ分析に当てるなどで時間を確保するといった対策が必要だ。

また、マーケターがデータ分析者を兼任するような場合は意思決定する人と分析する人との役割分担について考えておく必要があるが、小さい企業であればコミュニケーションが密になるのでデメリットよりもメリットの方が大きいとは考えられる。ただし規模が拡大したらできるだけ早い段階で分離をした方が良いだろう。

■丸投げ厳禁

データ分析に限らず、人がいない、手が足りないと、施策やデータ分析を代理店などに丸投げする話を良く聞くが、これは非常に危険。運よく良い代理店やコンサルに出会えたとしても、長期的に考えれば任せるのはやむを得ない場合のみにしておきたい。その場合でも主導権は必ず自分で握ること。規模がかなり小さい段階であれば経営者自身で見ることになるだろうが、そのうち手が回らなくなることは確実で、その時に社員が育っていないと外注頼みから抜けだせない。

■適性や能力が無い人に任せるぐらいなら自分でやるべきか?

これは非常に難しい問題である。経営者と同じレベルで考えられる人材は、特に中小企業には少ないであろう。かといって育てなければ経営者が動かし続けねばならない。任せて失敗しながら学ばせるのが一般的だが、データ分析がマーケティングや営業と違うのは、特に戦略情報は企業への影響が大きいため、失敗した時のダメージが非常に大きいという点だ。したがって、

  • ・企業の戦略に大きな影響を及ぼすような戦略情報は人材がいなければ経営者自身で行う
  • ・マーケティングや営業などの現場向けの戦術情報は早めに担当者を決めて任せる

というのが基本方針になるだろうか。もちろん、いずれにしても人材育成を怠ってはいけないのは共通している。

■データ分析は全ての企業が行うべきこと

データ分析は特別なことではないし、意思決定のためにデータを集めて分析するというのは実のところ誰でも行っている。あとはそれを企業の競争力として使うことを意識するかどうかの違いで、意識があればそれを具体的に実現する方法を考えるだけである。とはいえデータ分析に本格的に取り組んでいる企業はまだまだ少ないので、早く始めればそれだけ優位に立てる可能性は高い。

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タグ:経営者・マネージャー向け 中小企業 戦略 採用


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