データ分析とインテリジェンス

今あるデータを前提にしてはいけない理由

「今あるデータで何かできないか」と考える人がとても多い。そこにあるから使わなければもったいないとか、あわよくば利益が出たらうれしいとか、そうしたい気持ちはわかるのだが、そこはぐっと堪えて「何が目的であり、そのためには何を知るべきか」から始めるべきだ。さもないと、まったく見当違いの分析をしたり、分析はしても実行に繋がらないことになり、結局無駄になる可能性が高い。

まず最初に、データ分析プロセスの全体像を考える。これはデータ分析プロセスの全体像「インテリジェンスサイクル」とはに掲載した図を再掲すると

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相手も自分と同じ価値観であると決めつけてはいけない・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(7)

自分がそうだから相手もそうであると勝手に決めつけることがいかに危険であるかを良く表している。自分には必要ないからこの商品は売れないとか、自分には簡単すぎるから誰でもできるだろうとか、日常でもよくある話である。そして、データ分析を今まで使って来なかった人にとってはデータ分析など必要ないと考えているだろう。

情報部の教育についての実態が書かれている。この文章からは、組織的な教育が存在せず、個人の頑張りに任されているだけであるとがわかる。情報の価値が無視され、情報を重要視する文化が存在せず、教育がシステムとして存在しないという惨状である。そして恐ろしいことに、これは当時の日本における最高のエリート集団である大本営で起きていたことであるということだ。

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わたくしは注進しなかったからこそ命があったのです・・・中国の古典『史記』に見る情報の失敗(1)

家臣や部下からの情報を無視したり、間違えた情報を元にして戦いに負ける例は数多い。データ分析を無視するということが、どのような結果に繋がるかを歴史から学ぶために、史記から情報を無視して失敗した事例を引いてみる。

秦の始皇帝の死後、その遺詔を改竄して帝位についた二世皇帝胡亥は、馬鹿の故事で有名な宦官の趙高を重用した。その趙高が反乱を起こして宮殿に攻め込んできた際、戦わない近侍に怒った胡亥が近くにいた宦官に言った言葉である。

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なぜ日本でデータ分析が定着しないのか

日本でデータ分析(すなわちインテリジェンスであるが、データ分析の方が通りが良いのでそちらを使う)の文化を広めるためにはどうしたらいいかを考えるに当たって、そもそもなぜ日本ではデータ分析の文化が弱いのか、という現状認識について考察する。

まず、データ分析が活用されない理由を考える以前の問題として、これもよく言われるように、日本人は戦略的思考が弱いというのが一般的な認識であろう。そこから戦略的思考が弱い→戦略的思考のための情報の価値が認識されない→データ分析はその情報を作りだす行為であり、結局データ分析の必要性は低い、ということになる。したがって、先にこの戦略的思考の弱さについてその原因を考えなければならない。この戦略的思考が弱い原因についてはいくつか考えられるが、概ね「外国からの脅威が少なく、国内で揉めても隣近所で小競り合い程度が多いので長期的視野に立脚した戦略的思考が必要なかった」とまとめられる。

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大本営の情報無視は、現在のビジネスでもまったく同じだ・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(6)

「企業の戦略を決定するための基礎となる最重要な市場情勢判断の甘さが・・・」とでも書き換えてみれば、まるでまともに情報を使うことをしない現在の企業の事を言っているようである。敗戦から何も学ぶことなく来てしまったのではないかと思うほど、その類似性には驚かされる。実際そうなのかもしれないが。

大本営を愚かであると言うのはたやすい。しかし、現在の企業の情報無視・軽視ぶりは、戦中の大本営と一体どこが違うというのだろうか?ビジネスという戦場の中で、競合調査もろくに行わず、ただやみくもに第一線を走らせている姿が大本営と同じようにしか見えないのだが、何か違うのだろうか。

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クラスター分析における初期値の違いによる影響を解決する方法を考える

分析手法の疑問点・・・クラスター分析についてにおいて「k-meansでの初期値の違いの影響はどうするのか」について触れたが、その解決方法についてアイデアとしては何回も実行して最も属するクラスターに分類すればいいのではないかと以前からあったのだが、具体的に定式化する方法が思いついたので、まとめることにした。

下の図はk-meansでk=3としてクラスター分析を実行した結果である。1回だけの結果であればこれで良いのだが、初期値を変更して複数回実行した場合に各クラスタにどのように分類されるかを判別する際にどうするか問題になる。結果を重ね合わせていけばぼんやりと見えてきそうであるが、それだと意味がないのできちんと根拠のある分け方にしたい。

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分析手法の疑問点・・・クラスター分析について

データ分析を行う際、データを用意してツールにかければ答えはでるけれども、その手法の背景を理解していなければその結果が正しいのかがわからない。報告を受ける側としても手法の理解があるに越したことはない。報告書を読んだ際に鵜呑みにするのではなく、正しい分析を行っているかについて検証できる能力があれば、でたらめな結論に惑わされることもなくなる。

そこで、その手法を使うに当たって気になることや、レポートを受け取った際に質問したい点について手法別にまとめてみることにした。手法の説明は書籍やサイトがたくさんあるので、そこにあまり書かれていないけれども気になることが中心となる。疑問が解決したら都度追記する。

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メルマガの効果測定

さて、1万人にメルマガを送って100人購入した場合、その100人全てがメルマガの効果であると考えるのは、明らかに間違っている。なぜかと言えば、メルマガを送ったとしても必ずしも読まれているわけではないからだ。それどころか、読まれもしない場合の方が遥かに多い。そして、読まれたとしてもそれが本当に来店や購入に影響があったかというとそうとも限らない。メルマガを読まなくても来店していたかもしれないからだ。では、どこからどこまでをメルマガの効果とするべきか。

まずは上の図を見てほしい。100の効果があったと報告のあったメルマガは、きちんと検証してみたところ実は5の効果しかなかったという例である。100の効果があると思ってメルマガを続けていたのだが、実はやればやるほど赤字であったということがわかったため、この企業は即座に見直しを行い、有効なセグメントに絞ることで赤字にならないように修正を行った。

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データ分析で稼ぐ戦略を考える・・・データアナリストの場合

データ分析に限らないが、幅は広く知っていても個別のテーマで見れば専門家の足元にも及ばない、というのではデータアナリストとしての生き残りは難しい。高度な専門知識を持っているわけではないので参入障壁が非常に低いため、何かしらのアドバンテージでもなければ後から参入した人に簡単に追いつかれてしまう。極端な例だと、アナリストと言いながら簡単な集計とコメントを書いた報告書を作成しているだけのレベルの人は、1年もたたずに能力のある新卒に追い抜かれるだろう。営業力や経験である程度カバーすることは可能であろうが、長期的に考えると無策でいるわけにはいかない。

そこで、専門性のあるデータアナリストとして特定分野に特化する方法が考えられる。例えばマーケティングリサーチャーやWebアナリストあたりがまさにそれだし、マーケティング分析と一言でいってもIDPOS分析と商圏分析では大分話が違う。特化した分野での経験と詳細な知識とであれば参入障壁になりえるし、情報発信してその分野での第一人者として名声を得られれば、執筆やセミナーといった別の方法での稼ぎ口も出てくる。とはいえ他分野の知識が全くないのも視野が狭くなるので、特定分野に特化した企業や部署にいるような場合は特に注意して自分の幅を広げておいた方が好い。

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データ分析で稼ぐ戦略を考える・・・データサイエンティストの場合

データ分析を成功させる方法を考える(1)分析者に実行権限も与えたらどうかは主にデータ分析を使う側である経営者・マネージャーがデータ分析を成功させるにはどうすればよいのか、という視点であったが、今度は現場のデータ分析者や企業がデータ分析を武器にして稼いでいくためにはどうするべきかについて、データサイエンティスト(データ分析の専門家)、データアナリスト(データ分析のできる人)、データ分析をビジネスにする企業(コンサルティングや技術派遣)に分けて考察する。今回は第1回として、データ分析の専門家の場合である。

ここでのデータサイエンティストとは、高度な統計学や機械学習を使うデータ分析の専門家という意味である。どこからが高度かは議論の分かれるところだとは思うが、データサイエンティストというかデータ分析職に就くための最低限のスキル要件とはでいう最低限ラインは超えていることは必要だろう。

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