データ分析とインテリジェンス

競合分析・競合調査とは・・・『競争優位の情報戦略』で競合分析を学ぶ(1)

戦略情報に関する書籍は非常に少ない上にほぼ翻訳本であるということは、やはり日本で戦略情報の需要がいかに少ないかということであろう。そんな中、これも翻訳本であるが良書である『競争優位の情報戦略 公開情報でここまで読めるライバルの経営戦略』を紹介する。

最初に言葉について説明しておく。本来であれば、「競合分析・競合調査」と「コンペティティブ・インテリジェンス」は明確に区別されるべき言葉であるが、あえてこのサイトはでは本文の引用以外では基本的に「競合調査・競合分析」=「コンペティティブ・インテリジェンス」を使用する。

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3年前なら使い道はあったかもしれないが・・・書評・感想『データサイエンティスト・ハンドブック』

3年ぐらい前にデータサイエンティストという言葉が出始めた頃であれば、全体像を見るのに役に立ったかもしれない。しかし、すでに下火になった現在になって、多くは過去に発表されている記事のまとめで目新しい議論もあまりなく、正直なところ「今更?」というのが感想である。内容も雑多で、経営者から現場に至る関係者全員に向けて書いたからだろうか、ページ数が少ないのに詰め込み過ぎて誰向けなのかわからなくなってしまっている。

特に気になるのは第2部で、約50ページと3分の1(全部で150ページぐらい)も使いながらもどうにも使いようが無い(詳細は後述)。無理に書いても専門書にはかなわないのだからいっそこの章をはずし、第1部も半分にした上で第3部の議論に厚みを持たせれば、今までのデータサイエンティスト本とは一線を画した書籍になったと思われる。

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月別アーカイブを作成しました

月ごとに記事一覧が見れるようになりました。今日現在作成したのは

です。毎月月初に当月分を追加します。

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中小企業のデータ分析戦略を考える

データ分析の専門家になりたければ中小企業に行く理由はあまりないというのは専門知識を生かしたい人にとっての話であり、中小企業にデータ分析が必要ない、ということではない。ただし、データ分析の始め方で書いたことはどの企業にも共通することではあるが、戦術面では余裕のある企業とはやり方を変えないと太刀打ちできない。なお、今回は分析サービスを提供する企業は考慮外。

データ分析が専任の仕事として成立するためには、最低でも2-3億円の売り上げは必要になる(※個人的な経験に基づく)。データサイエンティストに要求されるような高度な分析をメインに使うのであれば、もう一ケタ多くは必要だろう。もちろん業種業態、中心がリアルかWebか、力の入れ方、その他もろもろにより大分話が変わるので、あくまでもざっくりと言うと、である。

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(5)情報集約機関の不在とセクショナリズム・・・『日本軍のインテリジェンス』から現在のデータ分析軽視を考える

陸軍参謀本部と海軍軍令部がそれぞれ独自に情報を扱っており、情報の共有をしなかった。もっとも縄張り意識はどこでも起きる問題のようではあるのだが。とはいえ陸軍と海軍の中の悪さは情報部に限らずで「陸軍と海軍が戦い、余力で米軍と戦った」などと言っている人もいたぐらいだし、暗号解読でも陸軍がある暗号を解読していたのを海軍は最後まで知らなかったという話まであり、ここまで酷いのは他には聞いたことがない。

仲が悪くて情報の共有がされない上に、情報を集約する機関も存在しないのだから大局的に考えるなどできないだろう。現在はようやくNSCが立ち上がったがどう機能するかはまだ未知数。

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バズワードの栄枯盛衰モデル

データサイエンティストもそうだが、現れては消えていくバズワードの栄枯盛衰には一定のパターンがあるのではないか、ということでモデル化を試みる。

2015/09/11追記:「人工知能」「ディープラーニング/深層学習」などいくつかのキーワードに実際に当てはめてみた → 「バズワードの栄枯盛衰モデル」を具体化してみる

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(4)近視眼的な情報運用・・・『日本軍のインテリジェンス』から現在のデータ分析軽視を考える

インテリジェンスは副次的で、長期的・抽象的な戦略的思考が苦手なのだろう。戦略的に考えることが苦手であれば、そのために必要なインテリジェンスが求められるはずもない。一方で、脅威が目前に迫っていれば戦術的なインテリジェンスはわりと機能しているようで、満州における対ソ連情報収集、開戦前の東南アジアでの情報収集、暗号解読、などでは一定の結果を残している。ただしこれも(1)組織化されないインテリジェンスでも指摘されているように、現場の頑張りに支えられており、「現場の個人の能力に依存し、組織として機能しない」のではあるが。

見たり触ったりできる場合には無類の強さを発揮する。例えばものづくりや食べ物はその良い例だ。しかし、見えないことにはあまり強くない。経営戦略、IT、マーケティングなどが当てはまる。したがってデータ分析も戦略情報ではほとんど使われていない。競合調査なども、長期的・組織的に行うコンペティティブインテリジェンスではなく、目の前の競合店調査などに集中する。もっとも、Webのようにデータ分析の成否がすぐわかり、しかも利益に直結するような場合でもなかなか発展していないので、対象が直接見て触れないと意識にひっかからないのかもしれない。

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(3)防諜の不徹底・・・『日本軍のインテリジェンス』から現在のデータ分析軽視を考える

第3に、防諜の不徹底である。防諜とは諜報を防ぐという意味で、情報を取られないようにする、今でいうと情報セキュリティ(ただしコンピュータからの情報漏えいに限らない)である。防諜の不徹底ということはつまりは情報が漏れていたということで、情報が洩れて意図がばれれば敵に先手を打たれてしまう。ここではその特徴として

があげられている。

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(2)情報部の地位の低さ・・・『日本軍のインテリジェンス』から現在のデータ分析軽視を考える

2番目に、情報部の地位の低さである。石原莞爾、服部卓四郎、辻正信、瀬島龍三など有名な参謀はみんな作戦であるが、情報で有名な人などいないだろう。地位が低さは勧誘や配属に現れている。その特徴は

の2つである。

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(1)組織化されないインテリジェンス・・・『日本軍のインテリジェンス』から現在のデータ分析軽視を考える

戦後書かれた戦争に関する書籍は、個々の戦場や戦いに特化しているか、あるいは従軍した本人による個人的な体験記がほとんどであり、全容を書いたものはほとんど見当たらない(翻訳本は除く)。インテリジェンス関連に至ってはほぼ後者のみで、あえて言うならば英米課長であった杉田一次(『大本営参謀の情報戦記』の著者堀栄三の上司でもある)が書いた『情報なき戦争指導』があるが、これも全容というには物足りない。

そんな中、2007年に発表された『日本軍のインテリジェンス』は「はじめに」にも書いてある通り、戦前の日本のインテリジェンスに関する包括的な考察を行うために書かれている。この内容が、現在のデータ分析軽視とあまりにそっくりあてはまるのだ。

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