データ分析とインテリジェンス

人工知能ブームを総括する(2018年頃用)

人口知能いう言葉がよく聞かれるようになってそろそろ3年になるが、いまだに定義は確立されず、何をする人なのかもよくわからないまま、すでにブームはピークを過ぎ、このまま遠からず消え去っていくだろうという状態になっている。いったいなぜこのようなことになったのか、自分なりに総括してみる。

いつのまにか既存の機械学習との境目があいまいになり、やがて混同されている。このあたりになると実態もよくわからず、もはや名乗ったもの勝ちになってしまい、単なるハッタリになっているケースも散見される。人工知能と名乗ってはいるが、実はごく基本的な機械学習のアルゴリズムであるという場合すらある。それでもまったく知識の無い人には違いがわからず、結局は知識ではなく営業力勝負となっている。

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気の毒なのは、とにかく第一線であった・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(12)

はるか遠く離れた東京で現場を見たこともない大本営の参謀が立てた作戦がいかにでたらめであったか。ガダルカナルやニューギニアの悲劇はまたここでも繰り返されているが、どうしてこのようなことが起きるのだろう。

ビジネスでも同じだ。現場を知らない経営企画が作った計画のおかげでひどい目にあった経験のある人も多いだろう。情報を無視するどころか考慮すらしないのは昭和の日本軍とまったくかわらない。机上の作文をよしとしてしまうことは教育なのか文化なのか、どこかに欠陥があるはずだが、一体それはなんなのだろうか。

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データ分析に理解の無い経営者をどうやって動かすか

「データ分析がいくら重要だと言ってもどうせ聞かないだろうから無駄」だとそのままにしてはやりたいこともできないし経験も積めない。揚句に業績が上がらずボーナスも出ない、ではどうしようもない。さっさと脱出して他にいけばいいのだが、そう簡単にできるとも限らない。そこで、データ分析に理解の無い経営者をどうやって動かすかについて考える。

なお、今回の話は実行してどうなっても知らない。

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『はじめてのパターン認識(はじパタ)』のための数学メモ 第4章(1)

無相関化とは、各データ間の共分散を0にすること、すなわち共分散行列の対角化のこと。

行列\(A\)に対して、\(Ax=\lambda x\)を満たす\(\lambda\)を固有値、\(x\ne 0\)を固有ベクトルと言う。\(A\)が与えられたときに固有値と固有ベクトルを求めるのが固有値問題。ここでは\(A=\Sigma,x=s\)とおいている。

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競合調査とは何か

何が起こるかわかれば先手が打てる。孫子に言う「明君賢将動きて人に勝ち、成功の衆に出ずる所以の者は、先知すればなり」である。ビジネスを行う中で競合を含めて、外部の環境を見ることなしに盲目的に進めるなど自殺行為に等しい。ところが、この競合調査に力を入れている企業というのは案外少ない。行っていても組織的に行われず、特定の個人に任せきりになっているとか、Webや新聞の情報を集めて共有しているだけとか、競合調査とは言えないことを競合調査と言っていることも多い。

そこで今回はそもそも競合調査とはどういったものかの解説である。

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データサイエンティスト取扱い説明書

使いづらいのは、使い方を知らないからである。そこで、データサイエンティスト・データアナリストといった分析の専門家をうまく扱うにはどうしたらいいかを解説したい。

データサイエンティスト・データアナリストは簡単な問題をこなして給料がもらえれば良い、などとは考えない。ルーチンや日常業務など退屈な仕事ばかりを与えるとやる気を失う。より難しい問題が与えられてこそ力を発揮するのだ。夢中になれば残業もいとわないし、勉強熱心な人が多いのでプライベートの時間を使ってでも勉強に費やすだろう。ただしあくまでも本人がやりたいからやっているのであって、それに甘えて当然支払うべき報酬を支払わないなど論外である。

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爵禄百金を惜しんで、敵の情を知らざるは不仁の至なり・・・『大本営参謀の情報戦記』に学ぶデータ分析(11)

貫かれる「先知」の思想・・・『孫子』をビジネスにおけるデータ分析の教科書として読む(1)でも触れたが、この言葉は重要である。もっと広まるべきだと思う。そして、実態はまったく逆の事をしている。人材を惜しんで新入社員やスキルの低い人に情報集めだけさせて分析した気になり、使えないツールには金を出しても知識に金を惜しむ。勝利の主になれないのも当然だろう。

自分で企画したキャンペーンの効果を自分で図らせたら、うまく結果が出なかったことを誤魔化してうまくいったように見せようとする場合は多い。だからこそ第三者による冷静な分析が必要になるのであるが、このことについて理解している人は驚く程に少ないようだ。その結果、意図的であるにしろそうでないにしろバイアスのかかった報告がされ、検証無しに真に受けた上司やクライアントが間違えた分析を基にして新しい企画を立てて大惨事になるのである。

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データ分析はインハウスであるべき

データ分析に限らずだが、外に任せるということはそのノウハウが残らず人が育たない。ずっと高コストな上にいついなくなるかわからない外注を使い続けるぐらいならば、その分で優秀な人を探した方が良い。あまり外注に頼ることが常態化すると変えるに変えられず、人件費がかさむ上に社員が育たずさらに外注に依存する悪循環に陥りかねない。

データ分析は意思決定者が何を知りたいかを明確に捉えなければ始まらないし、最終的には意思決定者により利用されなければならない。優れた分析を作り出し、いくら正論をぶつけたところで動かなければ無意味になる。限度はあろうが、意思決定者の性格、やるべきことの優先順位、様々な政治的配慮などを考えた上でコミュニケーションを取らなければならないが、外部の分析者にはそれができないとは言わずとも相当に難しい。

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データ分析にも第三者による監査を取り入れてはどうか

高度な分析であればあるほど、何をしているのかを理解できる人が減っていくことになるが、だからと言って誰もわからないままで任せきりにしてしまうのがよいかと言えばそんなことはない。後で検証したら間違えていたり、より良い方法が見つかることもあるだろうし、なにより上位の意思決定に関与すればするほど権力となり、監視されない権力は徹底的に腐敗する。分析も同じことだ。

そこで、データ分析についても第三者による監査の仕組みがあった方がよいのでは、という提言である。

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貫かれる「先知」の思想・・・『孫子』をビジネスにおけるデータ分析の教科書として読む(1)

『孫子』と言えばあまりに有名な戦略の書であり、書籍も様々な人が書いているので読んだことがある人も多いだろう。ところで戦略を考えるためには、必ずその思考の裏付けとなる情報が必要になる。つまり、戦略書である孫子はデータ分析の教科書としても読める、ということである。そこで『孫子』の中からデータ分析に関する部分を抜き出して、主にビジネスにおいてどのように活用するかを考える。現代語訳についてはいわゆる超訳である。順番は特に決めておらず、思いついたら書いていく。

書き下し分については 金谷 治訳 『新訂 孫子』 (岩波文庫)を利用している。なお、「データ分析」という用語であるが、「インテリジェンス」もしくは「情報」と同義語で使っている(後述)。

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