データ分析とインテリジェンス

インテリジェンス-国家・組織は情報をいかに扱うべきか

■書評・感想・・・学術本と実用本の中間やや実用本より。とっつきすいので、学術本を読む前の導入にはこちらのほうがよい。

インテリジェンスを学ぼうとする際に、あまりに教科書的な本だと読みづらくて挫折してしまうことになるが、このインテリジェンスは事例が豊富に入っており、学術本と実用本の中間やや実用本よりでとっつきやすく、かつ文庫なので手軽に手が出しやすい。より現場の分析官向けには『戦略的インテリジェンス』があり、『インテリジェンス入門』の次に読む本としてはこの2冊あたりだろう。この本が軽く読めるのならばまずは『インテリジェンスの基礎理論 第2版』、そしてローエンタールの『インテリジェンス-機密から政策へ』に挑戦してみるのがよいだろう。ただし事例が多いということは最新の事例が書かれていないということでもあり、改定されないようなら5年後に読むのは厳しいかもしれない。

本文の全体の流れとしてはインテリジェンスサイクルを中心に展開し、後半は組織やインテリジェンス関連の話題に移っていく、と一般的なインテリジェンス本の流れと同様。ビジネスに応用を考えるには分析手法や考え方が書いてあるわけではないので弱いけれども、第4章後半のインテリジェンスと政治との関係についての議論は有用で、ビジネスでいえば上司やクライアントとアナリストの関係を考える上でよい参考になる。両者の関係は近すぎても遠すぎてもうまくいかないのだが、ビジネスでは大抵関係が近すぎて政治化したり悪い話が伝えられなくなってしまうという問題がおきる。どの程度の距離が最適なのかは一般的には難しいどころか永遠に解決しない問題だろうが、個人的には相手が受け入れてくれるのであればつかず離れずぐらいがちょうどよい。

著者は防衛研究所に所属する研究者。インテリジェンス専門の若手としてはもっとも著名(といってもインテリジェンスの研究者自体がほとんどいないのだが・・・)で『日本軍のインテリジェンス』など著作も多い。

以前読んだ時にはあまり読みやすくはないという印象だったのだが、ひさびさに読んだらこんなに読みやすかったのかと驚いた。もともとそういう本だったのに誤解していたのか、自分の知識が増えた結果なのかはしばらくしてまた読んだ時にならないとわからないだろう。

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タグ:書籍 インテリジェンス 小谷賢


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