データ分析とインテリジェンス

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ジョーカー・ゲーム

■書評・感想・・・エンタメ以上でも以下でもなかった。

あまり小説は読まないのだが、少し前に映画になったり今年の春にはアニメになったりと何かと名前を見かけるので読んでみることに。まぁなんというか、エンタメ以上でも以下でもなく、特にこれといった感想が思いつかない。ノンフィクションの迫力には勝てないし、局地的な小競り合いで終わってしまっているのでフォーティテュード作戦とか、日本版キム・フィルビーとか小説なのだからいっそもっと派手にしてもよかったのにと不完全燃焼。シリーズがいくつか出ているようだが、続きは保留。

中身はいろいろごった煮だ。D機関のモチーフは陸軍中野学校なのはすぐわかる(本部の場所とか、陸軍中野学校の1期生も20人いない程度と規模もほぼ同じ)として、選抜試験で建物に入ってから試験会場までの階段の数を質問されるのは『大本営参謀の情報戦記』で陸軍大学校入試の話として出てくるし、ロンドンの写真館を装っているのは石光真清、シュナイダーはゾルゲでXX(ダブル・クロス)はそのまま第二次大戦中にナチス・ドイツのスパイを捉えて二重スパイにしていたXX(ダブル・クロス)委員会の名称そのままだったり、他の元ネタもどこからか出てくるかもしれない。

ジョーカー・ゲームは小説であるが、これがきっかけでスパイに興味を持ったらノンフィクションをお勧めしたい。陸軍中野学校については新潮文庫から出ている『秘録・陸軍中野学校』が一番まとまっているだろう。文庫とはいえ結構な厚みがあり、日本のスパイを知る上で重要な1冊。

また、出たばかりの『レーニン対イギリス秘密情報部』もよいだろう。1910年代後半のロシア革命の頃を舞台に、ロシアでスパイ活動を行うイギリス秘密情報部の話である。これは小説ではなくノンフィクションであるが、まるで小説を読んでいる気分になってくる。しかしノンフィクションであり、スパイやその協力者だけでも多くの人が簡単に死んでいく。それがリアルなスパイ戦でもある。

あとは本家XXが登場する『英国二重スパイ・システム - ノルマンディー上陸を支えた欺瞞作戦』なんてのもある。国を挙げてナチス・ドイツとヒトラーを騙そうとするイギリスの作戦であるが、これもまたノンフィクションであり、冗談みたいな本当の話。

別の書籍の紹介の方が長くなってしまったが、スパイやインテリジェンスに関する書籍はノンフィクションも小説も残念ながら蓄積が違うので今はまだ仕方がないのかな。

■目次

  • ジョーカー・ゲーム
  • 幽霊
  • ロビンソン
  • 魔都
  • XX

■概要

題名ジョーカー・ゲーム
著者柳広司
出版社角川書店
発売文庫:2011/06

結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く結城は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げてゆく……。
吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞に輝く究極のスパイ・ミステリー。《出版社サイトより》

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タグ:書籍 小説 スパイ

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