データ分析とインテリジェンス

データサイエンティストが創る未来 これからの医療・農業・産業・経営・マーケティング

■書評・感想・・・「同世代のトップクラスが、人々に広告をクリックさせることばかり考えているなんて、あんまりだ。」の一言が心に突き刺さる

ビックデータの活用事例もありますが、どちらかというと人に焦点を当てています。特に中心になるのはIBM→Facebookでデータ分析チームを立ち上げ→クラウデラに参加→医療業界へ転身したデータサイエンティストであるハマーバッカーですが、日本では選択肢もなければ流動性も低いので参考にはもちろんなりません。

全体的に雑多な印象ですが、数年前のアメリカのデータ分析事情を垣間見るのにはいいかもしれません。変化の激しいデータ分析業界ですので現在はもっと先へ進んでいるのでしょう。表に出てくるのはごく一部でありすそ野は遥かに広いでしょうから、その差がどれだけ広がってしまっているか想像もつきません。

また読み返すことはなさそうですが、そんな中で前述のハマーバッカーの言葉がとても強く印象に残っていますので引用します。

コンピュータサイエンティストの優秀な頭脳が、ターゲット型オンライン広告にばかり費やされる。そのことに、ハマーバッカーは失望しているのだ。2011年には(中略)心のうちを吐露していた。

「同世代のトップクラスが、人々に広告をクリックさせることばかり考えているなんて、あんまりだ。」

まったく同感で、これは日本でもどこでも状況はさほど変わらないでしょう。日本の場合はこれにスマートフォンゲームのガチャに金を使わせるが加わるのでなおさら状況は良くないのかもしれません。とはいえこれは仕方のないことで、本文も以下のように続いています。

新しいテクノロジーはまずいちばん簡単に稼げるところに導入され、そのあとで広く浸透していくのが世の常だ。印刷機が最初に世に出たときも、グーデンベルク聖書のほかに、まず印刷されたのは、宗教冊子と政治的な論説と、ポルノだった。

日本の場合さらにデータ分析の文化がほとんどないため、その知識を活かすことができる場所が他にほとんどない、という現状が重なってデータ分析を仕事にするのが非常に厳しい状況にあるのは重々承知しており、データサイエンティストやデータアナリストに一方的に責任があるとは思いません。さらに本文はこのように書きます。

オンライン広告は、経済的観点でいえば「善」である。広告市場に次元の違う新しい効率性をもたらす。おかげで広告費を削減でき、浮いた資金と資源をほかのところに投資できる。

確かにその通りで、どのような場であっても培われた知見が広まり、それが社会の効率化に役立つであろうことはたしかでしょう。しかし、この点についてのハマーバッカーの見解に私は同意します。

「だったら、その、ほかのところとやらに力を入れましょうよ。もっと重要なことのために働きましょうよ」

稼げないから、仕事がないから今の仕事をしている人も多いでしょうし、実は自分もさほど変わらないのであまり人のことを言える立場ではありませんが、この気持ちを忘れた時何が残るのでしょうか。そんなことを考えさせられます。

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タグ:書籍 データサイエンティスト ビックデータ

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