データ分析とインテリジェンス

データサイエンティストの舞台裏

■書評・感想・・・数式なし、手法なし、現場や専門家には役に立たない

「舞台裏」というからには見えない部分で何をしているか、どういった分析なのかが紹介されているとかと思って読むとだいぶ様子が違いますのでご注意ください。数式や分析手法についてはほとんど触れられていません。

それもそのはず、元は日経情報ストラテジーに掲載されている記事なので読者は分析者ではなく、しかも経営層よりなのでそもそも対象が違うのですが、それでもデータ分析を活用する文化や組織の話題なのかというとそうでもなく最後の方に少し出ているぐらい。「データ分析事例集」の方が妥当ではないでしょうか。

■この本の使いどころ:ベンダーやコンサルが何をどう売り込んでいるのか様子を知る

というわけで、この本の使いどころとしてはベンダーやコンサルタントが(リテラシーの低い)偉い人にシステムやサービスを売り込む際にどんなことを話しているかの一端を知る、ということかと思います。そういう意味ではパンフレットみたいなものかもしれません。これは現場レベルではなかなか見えないので、ある日突然「このサービスを導入することに決めた」とか「ライバル企業ではこんなことをしているのにわが社ではなぜしていないのか」とか言われてびっくりしないよう、準備しておくには役立つでしょう(もっとも、準備したところで何かできるわけではないので結局は無意味かもしれませんが)。

あとあえていうなら、掲載企業を競合としていたりベンチマークしているのであれば、何をしているのかの様子を掴むための参考にはできるかもしれません。詳細に何をしているかを公開する企業はまずいませんのでこれだけ漠然と読んでいても役には立ちませんが、会員数・組織体系・環境など外からではなかなか見えない情報を獲得するには使えます。

■「データサイエンティスト」ブームの終焉

データサイエンティストはもうとっくに下火になっていますが、最近の出版状況を見るといよいよ本当に終わりかな、と感じています。続いて出てきた人工知能もそろそろピークを迎え、次のネタとしてIOTとフィンテックがすでに登場しており、データサイエンティストはすでに用済みというところでしょう。

この後は統計や数式を一切使わない「データ分析」と、専門家しか読まない「データ分析」の二極化、という元の状態に戻るのでしょうが、データサイエンティストブームの機会にその間を埋められなかったことと、経営者層向けにデータ分析を啓蒙することができなかったのが最たる原因ではないかと考えていますが、みなさんはどうお思いでしょうか。

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タグ:書籍 データサイエンティスト


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