データ分析とインテリジェンス

プロジェクトの失敗はだれのせい?

■書評・感想・・・ベンダーとユーザーの両者が互いを尊重して一緒に作り上げていくことの大切さ

(データサイエンティストではないけど)データサイエンティストはSEであるべき・・・か?の一環として、分析ツールを作って誰かに提供するような場合、遅れたり大失敗したら訴訟になったりするのだろうか、なんて思っていたときにちょうど見かけたので読んでみた。著者は東京地方裁判所でIT専門の調停委員をしているそうで、実際に見てきたのであろう話を元にしていると思われるだけに生々しく、読んでいると他人事では済まされない。

小説なので読みやすい代わりに少々間延びしているのと、後半は総会屋崩れを相手にした勧善懲悪な話になっており本筋と離れてしまったのはちょっと気になった。同じ著者による『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』の方が個人的にはあっているようだ。内容は(多分)似ているのであとは読み手の趣味が合う方を選べばよいだろう。

さて、著者が言いたいことはこういうことだと思う。それは、

「システムの構築が失敗するのはベンダーだけでなくユーザーの責任もある、両者が互いを尊重して一緒に作り上げていくことが成功につながる」

ではないだろうか。当たり前の話なのだけれども、うまくいかないものだ。これはシステムに限らず例えばカフェなども同じで、客だからと尊大な態度を取ったり、提供する側がお前らには理解できないだろうから出されたものを食えというのではよい関係は気づけない。もう1歩づつでも近づければもっと違う結果になったであろうという状況を見てきたが、その時にこの一言が伝えられれば何か変わっていたのだろうか、なんてことを考える。

■目次

  • 第一話 ユーザーのワガママはベンダーの責任?
  • 第二話 ユーザーが協力しないのもベンダーのせい?
  • 第三話 苦しいときには縦社会
  • 第四話 業界の“常識”は見えない要件
  • 第五話 軽微な不具合に地雷は潜む
  • 第六話 悪い話こそエスカレーション
  • 第七話 プロジェクトのやめ方は泥棒に学べ
  • 第八話 隠しごとが孤独と不幸を生む
  • 第九話 真のパートナーたれ

■概要

題名プロジェクトの失敗はだれのせい?
著者細川義洋
訳者技術評論社
出版社朝日ソノラマ
発売2016/02

納期遅延,コストオーバー,機能や品質の不全で訴訟にまで発展 ――
そんな紛争の処理を担う特別法務部,通称“トッポ―”の部員である中林麻衣が数多くの問題にあたるなかで目の当たりにするプロジェクト失敗の本質,そして成功の極意とは?
東京地方裁判所で民事調停委員・IT専門委員を務め,数多くの紛争を見てきた著者だからこそ書けた,かつてないプロジェクト小説!(出版社HPより)

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タグ:書籍 失敗 システム・ツール SE


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