データ分析とインテリジェンス

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分析力を武器とする企業

■書評・感想・・・ビックデータの走りにして最良の基本書。これを読まずしてデータ分析は語れない

2008年発売の本書はビックデータが話題になる前に分析力に注目しており、なぜデータ分析が競争力になるかをはじめに、組織・文化・人材にまで触れられているデータ分析ではもはや古典にして基本書、と言っても過言ではないぐらいです。発売直後に手に入れてそれから何度も読んでいますが、今回改めて読み返してみてもまだまだ読み込めていないと感じます。本書を読んでいないデータ分析者はもぐりである、ぐらい言ってもいいかもしれません。

分析手法や処理方法が書かれているわけではないで実務にすぐ使えるという本ではありませんが、どういった形であれ分析に携わるならば押さえておきたい1冊でしょう。なお、2016年も半ばになろうとしている本記事執筆中において、このレベルにたどり着いた日本の書籍はありません。たどり着くどころか比較にもならないというのが残念ながら実情です。それを端的に示す一文をご紹介しましょう。

経営陣が勘ではなく事実に基づいて決定を下す姿勢をもっていなければ意味がない。自分の直観に自信満々でデータ・アレルギーの経営者がトップにいるのでは、分析力を武器にすることは難しい。そのような組織では、データ分析はせいぜい戦術的に生かされるにすぎず、効果も限られてしまう。

分析力を武器にするためのロードマップの第一ステージにこの文章があります。つまり、データ分析においては経営者のデータ分析リテラシーが最も重要であるという問題の本質をついているこの文章だけでも本書レベルの高さが伺えますが、この重要なことに触れられることは案外少ないのです。理由はおそらく2つあり、1つは売り込みのために経営者の機嫌を損ねるようなことは言わないようにしている、もう1つは単に現場作業レベルの事しか書いていないので必要ない、ということだと思われますが、いずれにしても避けて通れない「経営者のデータ分析リテラシーの問題」に触れていなければ結局のところあまり役には立ちません。

上から下までデータ分析に疎い日本の文化の中で経営者層だけを責めるのは厳しい、あるいはフェアではないかもしれませんが、データ分析が競争力になるかは結局のところ経営者層がいかにデータ分析を活用するかということに尽きる以上は仕方がないでしょう。

■データサイエンティスト・データアナリストとして生き残るために

ビックデータ、データサイエンティスト、人工知能・・・ここ数年だけでも様々なバズワードが登場してはいますが流行に踊らされることなくこれからもデータ分析で食べていきたいと考えているのならば、分析手法やエンジニアリングはもちろん、もっと広い視野で企業がどうやって分析を競争力にするか、そのために何が必要でどんな提案をすることが企業と自分のためになるかを考える、というような活動は必須です。

分析だけで食べていける程日本企業のデータ分析事情は発達しておらず、何もしなければ役に立たないと捨てられるか、雑用係となって何の経験も積めずに時間が過ぎるだけ。そうならないためにも、本来経営者向けの書籍ですがむしろ現場の人が読んだ方が効果が高い書籍ではないでしょうか。

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タグ:書籍 データ分析 キャリア

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