データ分析とインテリジェンス

立地の科学

■書評・感想・・・立地の重要性について具体的な状況を参考に学べる本。ただし読み物としては面白いけれど、科学的な方法については期待しないで読んだ方がいい

水道橋、神田、中野、池袋、それと架空のいくつかの状況を例として、人がどこをどのように通るか動きを追いながらなぜその店が流行るかを立地を中心にして分析する。特に実在する場所については土地勘があるとすんなり頭に入り易いので近くの人は実際に現地に行ってみるのがよいだろう。

売上要因分析の紹介は使えそう。これもそのまま鵜呑みにするのではなく、自社に合わせて取捨選択あるいは別の指標を追加してカスタマイズする必要はあるにしても、十分参考にはできる。内容は次の通り。

  • 顧客誘導施設・・・駅や大規模商業施設など顧客を惹きつける施設
  • 認知性・・・見える見えないの「視界性」と知っているいないの「周知性」
  • 動線・・・顧客誘導施設と顧客誘導施設とつなぐ道
  • 建物構造・・・店舗面積、駐車場台数、座席数、入口の数や位置
  • アプローチ・・・店舗や店舗敷地への入りやすさや入りにくさ
  • マーケット規模・・・店から半径何kmに人がどれだけいるか
  • 商圏の質・・・性別、年齢、職業、家族の人数など
  • ポイント規模・・・店の前を通る人の数(通行量)や車の数(交通量)
  • 自社競合・・・同一チェーンの他の店
  • 他社競合・・・同業者に限らない競合

たしかにこれらの項目が重要であろうことは理解できる。しかし、これらの要因をどのように計測し組み合わせて分析するか、という最も重要な点についての詳細は本書にはない(最後に実例があるにはあるが値の設定が恣意的で科学的とは言いづらい)。題名に「科学」とあるし、本文中でも「カンと経験から科学へ」とも言っており、職人芸に頼らない方法を重要と考えている様子はうかがえるのだが、やはり詳細はノウハウなので書籍で表に出すのは難しいということだろうか。なのでそのまま鵜呑みにするのはちょっと危ないかもしれないが、読んでいて面白いし納得できることも多いので買っても十分元は取れると思われる。さほど分量もなく気軽に読めるので、立地や商圏分析を学ぶ入口にちょうどいいかも。

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タグ:書籍 商圏分析


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